民事訴訟法上、訴状や判決書は相手方に送達されなければなりません(民事訴訟法138条1項、255条1項)。この送達は、原則として書類を交付して行うこととされているのですが(101条)、その方法としては、郵便(特別送達 99条1項)が用いられることがほとんどです。一応、訴訟提起時に代理人がついていることが判明している場合は、裁判所で書記官が交付することもできるのですが(100条)、あまり多くはありません。

 この特別送達を無事に受け取ってもらえるといいのですが、まれに受け取ってもらえないということがあります。この場合、状況に応じて、再送達や就業先への送達、付郵便送達、公示送達のいずれかをお願いしなければことになるのですが、付郵便送達や公示送達をするためのハードルはかなり高く、けっこう大変です。ほとんどの場合、現地調査をしてくださいと言われるので、弁護士の日当や業者への委託費用が発生してしまいます。

 ただ、先日、このような現地調査に代えて、執行官送達を活用することができるのではないかという記述を見かけました。
 執行官送達というのは、送達方法の1つなのですが、送達される時間帯を細かく指定できること等から、送達から間を置かずに実施しなければならない証拠保全事件などで利用されています。費用は1回あたり1800円とそこそこかかりますが、弁護士の日当や業者への委託費用に比べると格安ですし、何より執行官が送達報告書を作成してくれる(99条1項)ので、これをもとに付郵便送達を申し出るというのはとても説得力がありそうです。
 今後送達ができないという事態が発生した場合には検討してみたいと思います。