はじめに

 マーケティング活動を統合的に認識し実践するためのフレームワークとしては、4P(※1)や4C(※2)が有名なところですが、2013年ころから、4PをBtoBの現実にあわせて再構築した「SAVE」モデルが提唱されていますのでご紹介します。

※1 Product、Place、Price、Promotionのそれぞれの頭文字をとったもの。1960年にジェローム・マッカーシーの『ベーシック・マーケティング』により提唱された。
※2 4Pを消費者・顧客の側から再構築したもの。1973年にロバート・Fロータボーンにより提唱された。

SAVEモデルとは(引用)

Instead of Product, Focus on Solution

Define offerings by the needs they meet, not by their features, functions, or technological superiority.

Instead of Place, Focus on Access

Develop an integrated cross-channel presence that considers customers’ entire purchase journey instead of emphasizing individual purchase locations and channels.

Instead of Price, Focus on Value

Articulate the benefits relative to price, rather than stressing how price relates to production costs, profit margins, or competitors’ prices.

Instead of Promotion, Focus on Education

Provide information relevant to customers’ specific needs at each point in the purchase cycle, rather than relying on advertising, PR, and personal selling that covers the waterfront.

Rethinking the 4 P’s by Richard Ettenson, Eduardo Conrado, and Jonathan Knowl(https://hbr.org/2013/01/rethinking-the-4-ps)より

つたない翻訳と注釈

 これだけだとあれなのでつたない翻訳と注釈を。

Solution プロダクトではなく、ソリューション(問題解決)を重視する
 提供するものは、顧客が直面しているニーズによって定義されるべきであり、製品の特徴や機能、技術的な優位性で定義されるべきではない。
→ 4CのCustomer Solutionと同様に、製品やサービスを「顧客が抱えているどのような問題を解決するものであるか」という点からとらえるべきであることを示しているものだと考えられます。
 顧客を中心に考えることで、すでにある製品の特徴や機能、優位性といったものに縛られることなく、新たな提案を発見することができるかもしれません。

Access プレイスではなく、アクセスを重視する
 個々の購入場所や流通チャネルに重点を置くのではなく、顧客が購入に至るまでの流れ全体を考慮した、統合されたクロスチャネルの存在を開発すべきである。
→ 4CのConvenience(購買時の利便性)と同様に、物理的な売場にこだわるのではなく、製品やサービスが必要になったらすぐなんらかの形でアクセスできる(入手できる)状態や経路を作ることが重要であるということを示しているものだと考えられます。
 ウェブサイト等を活用し、顧客がいつでも製品やサービスにアクセスが可能な環境を構築しましょう。

Value 価格ではなく、価値を重視する
 価格と生産コストや利益率、競合他社の価格との関係性を強調するのではなく、価格に対するメリットを明確にする。
→ 4CのCost(顧客が支払う費用)と同様に、顧客が感じる価値(価格に対するメリット)を中心として決定すべきであるということを意味しているものと考えられます。
 どうしてもコストや利益率から価格を考えたくなりますが、顧客を中心として考えると、考えるべきポイントは、「顧客は、この問題が解決するとしたらいくらまでなら払ってもいいと考える(あるいは払える)だろうか」という点ですよね。

Education プロモーションではなく教育を重視する
 広告やPR、水際作戦のような個人的営業に頼るのではなく、購買サイクルの各段階で、顧客の具体的なニーズに合った情報を提供する。
→ 4CのCommunicationと同様に、必要になったときに思い出してもらえるような関係作りを重視すべきであるということを意味しているものと考えられます。
 取引が成立するのは顧客が製品・サービスを必要としたときですが、企業が広告やPRをしたときに顧客が製品やサービスを必要としているとは限りません。短期的な広告や販促で押し込むよりも、「必要になったときに思い出してもらえる」という関係を構築・維持する方が、長い目で見ればより多くの取引につながるかもしれません。

おわりに

 SAVEモデルは、4PをBtoBの現実にあわせて再解釈(重視する点を変更)したものですが、4Cと同様、マーケティングを考えるうえで様々な示唆を与えてくれます。マーケティングミックスを検討する際の参考となれば幸いです。