0 はじめに

 いつの間にか新年度がはじまる時期になりましたね。新年度に入ると、最近新規登録された弁護士の方々も委員会等に配属されることになるのですが、そんな新人弁護士に襲いかかってくる最初の(そして委員会等によってはずっと続く)お仕事が議事録作成です。

 初めて参加した委員会でいきなりふられがちなのに、慣れていないと結構大変な議事録作成。「これをふられるのが嫌で委員会に行きたくなくなってしまう」ということがないよう、いくつかヒントを書き残しておきたいと思います。
 ただし、本記事は完全に個人的な見解であり、他会や他の委員会等で求められているものは別かもしれませんのでその点はご留意ください。

1 議事録作成の意味

 いきなり議事録作成をやれと言われても、「何をどのように書けばいいのかわからないので何をメモしておけばいいのかわからない」ですよね。まったくそのとおりだと思います。しかし、完成形がわからないままに議事録作成をやれと言われるケースもありますので、最低限メモしておきたいポイントを考えてみましょう。

 議事録は、その名のとおりその会「議」で起こった「事」を記「録」する文書で、当該会議において議論された内容や、その結果決定した事項等を記録し、会議の参加者や事務局等と共有することを目的として作成されています。多分。ただなんとなく作られているわけではない・・・はず。

2 何をメモしておくべきか

 以上のような議事録の定義や目的からすれば、議事録として成立するためには、少なくとも①いつ、②どこで、③だれが、④どういうことについて議論し、⑤その結果どうなったのかという点が盛り込まれている必要があります

 そこで、まず、①その会議がいつ行われたのか(開始時間と終了時間)、②どこで行われたのか(物理的な部屋の特定と、Web会議併用の有無について等)、そして③だれが参加していたのかについてメモしておく必要があります。
 ①や②については招集通知等で容易に特定できることがありますので、そのときは適当に○でもつけておけば良いのですが、参加したてのころは③だれが参加していたのかという点がなかなかわかりません。会議の終わり際にでも「参加したてなので出席者を確認させてください」等と発言して確認させてもらうといいように思います。問題は、初参加の委員会でこれをやるのはめちゃくちゃハードル高いという点ですね。

 次に、④どういうことについて議論したのか、という点については、弁護士会の委員会であれば招集通知に議題が記載されているはずなので、これをベースにどういうことがされたかということを簡潔にメモしていけばよいでしょう。録音反訳していないような会議であれば逐語訳までは不要なはずです。「報告 A」とか、「議論 Bにつき」とか、とにかくポイントに絞ってメモしていきましょう。

 最後に、⑤議論の結果どうなったのかを書くのですが、これは2つにわかれます。ひとつは「決定事項」で、もうひとつは「次回までになにをするのか」ということです。会議によってはこの辺がよくわからなかったり、ごちゃごちゃしていることもありますので、きちんと確認しておきましょう。

3 どう書くか?

 この点については、弁護士会の委員会等であれば規定のフォーマットがあるはずなので、これにしたがって書くしかありません。まずはだれかに頼んで前回の議事録とフォーマットを入手しましょう。

 これ以外のポイントとしては、極力簡潔に書くということでしょうか。どの程度詳細な記録が必要な会議かというところにもよりますが、大半の会議では「誰がどういう発言をして、それに対してこういう発言があり、・・・その結果こうなった」というほどの詳細さは求められていないはずです。作成時間短縮のためにも、極力簡潔に記載することを心がけましょう。
例:「A委員から報告がなされた」
  「Bにつき、Cとすることとされた」
  「Dについては、E委員が○月○日までにFすることとされた」
  「Gについては、引き続き検討することとされた」

4 その他のあれこれ

 なお、これだけ頑張って書いても、作成された議事録はたいがい先輩弁護士らにメタメタに直されます。が、これはだれもが通る道なので全く気にする必要はありません。そのうち感覚がつかめて(それほど)修正が入らなくなってきます。

 以前はこういう超絶スパルタ教育と並行して、委員会後にご飯を食べさせてくれるという風習があった(少なくとも沖縄弁護士会ではたくさんの先生方に食べさせていただきました。ありがとうございます!)ので、そのときにいろいろ聞いたりしてこなしているうちになんとかなっていたのですが、昨今こういう風習も廃れつつありますので、登録したばかりの先生方には、この記事を参考にしてなんとかサバイバルしていただければと思います。