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平成28年海事代理士試験 港湾運送事業法の解説

注:執筆当時の法令に基づくものです。法改正の影響については各自ご確認ください。

1.次の①及び②の法令の規定を参照した文章の正誤について、正しい組み合わせを選択肢ア~エから選び、回答欄に記入せよ。(5点)
(1)① 港湾においてする船積貨物の警備等の港湾運送関連事業を営もうとする者は、港湾ごとに、国土交通大臣の許可を受けなければならない。

答え : ☓

→ 根拠法令は、法2条3項及び22条の2第1項。

(2条3項)この法律で「港湾運送関連事業」とは、営利を目的とするとしないとを問わず、他人の需要に応じて次に掲げる行為を行なう事業をいう。
 一  港湾においてする、船舶に積み込まれた貨物の位置の固定若しくは積
  載場所の区画、船積貨物の荷造り若しくは荷直し又は船舶への貨物の積込
  み若しくは船舶からの貨物の取卸しに先行し若しくは後続する船倉の清掃
 二  港湾においてする船積貨物の警備

(22条の2第1項) 港湾運送関連事業を営もうとする者は、あらかじめ、港湾ごとに、国土交通省令で定める事項を国土交通大臣に届け出なければならない。当該届出をした者(以下「港湾運送関連事業者」という。)が当該届出をした事項を変更しようとするときも、同様とする。

② 港湾運送事業者は、事業計画を変更しようとするときは、国土交通大臣の
認可を受けなければならないが、事業所の数の変更等の国土交通省令で定め
る軽微な事項に係る変更についてはこの限りではなく、当該変更後に、遅滞
なくその旨を国土交通大臣に届け出ればよい。

答え : ○

→ 根拠法令は、法17条1項・3項。

(17条) 港湾運送事業者は、事業計画を変更しようとするときは、国土交通大臣の認可を受けなければならない。但し、国土交通省令で定める軽微な事項に係る変更については、この限りでない。
2  第六条の規定は、前項の認可について準用する。
3  港湾運送事業者は、第一項但書の事項について事業計画を変更したときは、遅滞なく、その旨を国土交通大臣に届け出なければならない。




(2)① 国土交通大臣は、災害の救助その他の公共の安全の維持のため必要な港湾運送であり、且つ、自発的に当該業務を行う者がない場合又は著しく不足する場合に限り、港湾運送事業者を指定して、貨物の取扱又は運送の方法又は順位を変更するよう命ずることができる。

答え : ○

→ 根拠法令は、法18条の2第1項。

(18条の2) 国土交通大臣は、災害の救助その他公共の安全の維持のため必要な港湾運送であり、且つ、自発的に当該業務を行う者がない場合又は著しく不足する場合に限り、第十五条の規定にかかわらず、港湾運送事業者を指定して、左の各号に掲げる事項を命ずることができる。
一  国土交通大臣の指定した貨物の取扱又は運送をすること。
二  貨物の取扱又は運送の方法又は順位を変更すること



② 港湾運送事業者が、正当な理由がないのに認可を受けた事項を実施しない
場合、国土交通大臣は、当該港湾運送事業の許可を取り消すことができると、
港湾運送事業法に明記されている。

答え : ○

→ 根拠法令は、法22条2号。

(22条) 国土交通大臣は、港湾運送事業者が次の各号のいずれかに該当するときは、三月以内において期間を定めて当該事業の停止を命じ、又は当該港湾運送事業の許可を取り消すことができる。
一  この法律又はこれに基づく処分に違反したとき。
二  正当な理由がないのに認可を受けた事項を実施しないとき
三  第六条第二項第一号、第二号、第四号又は第五号の規定に該当するに至つたとき。



(3)① 港湾運送事業者が事業を廃止する場合は、廃止の日の60日前までに、国土交通大臣にその旨を届け出なければならない。

答え : ☓

→ 根拠法令は、法20条。

(20条) 港湾運送事業者は、その事業を休止し、又は廃止しようとするときは、国土交通省令で定める手続により、休止又は廃止の日の三十日前までに、国土交通大臣にその旨を届け出なければならない。

 


② 一般港湾運送事業者は、その責に帰すべからざる理由により貨物の引渡を
することができないときは、荷送人の費用をもってこれを倉庫業者に寄託す
ることができる。

答え : ☓

→根拠法令は、法13条1項。荷送人ではなく、荷受人です。

(13条) 一般港湾運送事業者は、その責に帰すべからざる事由により貨物の引渡をすることができないときは、荷受人の費用をもつてこれを倉庫営業者に寄託することができる。


(4)① 検数事業、鑑定事業又は検量事業を営もうとする者は、港湾運送事業の種類及び港湾ごとに、国土交通大臣の許可を受けなければならない。

答え : ☓

→根拠法令は、法4条、3条。検数事業等は、事業の種類ごとの許可でOKです。

(4条) 前条第一号から第四号までに掲げる港湾運送事業(以下「一般港湾運送事業等」という。)を営もうとする者は、港湾運送事業の種類及び港湾ごとに、同条第五号から第七号までに掲げる港湾運送事業(以下「検数事業等」という。)を営もうとする者は、港湾運送事業の種類ごとに国土交通大臣の許可を受けなければならない。この場合において、一般港湾運送事業、はしけ運送事業又はいかだ運送事業の許可を受けた者は、当該許可に係る港湾を起点又は終点とする指定区間においても、当該許可に係る一般港湾運送事業等を営むことができる。

(3条) 港湾運送事業の種類は、次に掲げるものとする。
一  一般港湾運送事業(前条第一項第一号に掲げる行為を行う事業)
二  港湾荷役事業(前条第一項第二号及び第四号に掲げる行為を行う事業)
三  はしけ運送事業(前条第一項第三号に掲げる行為を行う事業)
四  いかだ運送事業(前条第一項第五号に掲げる行為を行う事業)
五  検数事業(前条第一項第六号に掲げる行為を行う事業)
六  鑑定事業(前条第一項第七号に掲げる行為を行う事業)
七  検量事業(前条第一項第八号に掲げる行為を行う事業)


② 港湾荷役事業の許可を受けた者は、他の港湾運送事業者から引き受けた港
湾運送については、少なくともその貨物量に70%を乗じて得た貨物量に係
る港湾運送を自ら行わなければならない。

答え : ☓

→ 根拠法令は、法16条4項。3項とのひっかけです。他の港湾運送事業者から引き受けたものについては、全部自分でやらなければならず、更に下請けにだすことはできません。

(16条3項)  第三条第二号から第四号までに掲げる港湾運送事業(以下「港湾荷役事業等」という。)の許可を受けた者は各月中に引き受けた港湾運送(他の港湾運送事業者から引き受けたものを除く。)については、少なくとも、当該月中に引き受けた港湾運送に係る貨物量に第一項の国土交通省令で定める率を乗じて得た貨物量の貨物に係る港湾運送を自ら行わなければならない。
4  港湾荷役事業等の許可を受けた者は、他の港湾運送事業者から引き受けた港湾運送については、その全部を自ら行わなければならない。

(3条2号) 港湾荷役事業(前条第一項第二号及び第四号に掲げる行為を行う事業)



(5)① 港湾運送事業法において、「港湾運送事業」とは、営利を目的とするとしないとを問わず、港湾運送を行う事業をいう。

答え : ○

→根拠法令は、法2条2項。

(法2条2項) この法律で「港湾運送事業」とは、営利を目的とするとしないとを問わず港湾運送を行う事業をいう。


② 港湾運送関連事業者は、国土交通省令で定めるところにより、港湾ごとに、料金を定め、その実施前に又はその実施後遅滞なく、国土交通大臣に届け出なければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

答え : ☓

→ 根拠法令は、法22条の3。実施前限定です。

(22条の3)  港湾運送関連事業者は、国土交通省令で定めるところにより、港湾ごとに、料金を定め、その実施前に、国土交通大臣に届け出なければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。


2. 次の文章は、港湾運送事業法に関する文章である。□に入る適切な法令上の語句を下欄の語群の中から選び、その番号を解答欄に記入せよ。(5点)
(1) 港湾運送事業の譲渡及び譲受は、国土交通大臣の[認可]を受けなければ、その効力を生じない。

→ 根拠法令は、法18条1項。

(18条1項) 港湾運送事業の譲渡及び譲受は、国土交通大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。


(2)[一般港湾運送事業]の許可を受けた者は、国土交通省令で定めるところにより、港湾運送約款を定め、国土交通大臣の[認可]を受けなければならない。

→根拠法令は、法11条1項。

(港湾運送約款)
第十一条  一般港湾運送事業の許可を受けた者(以下「一般港湾運送事業者」という。)は、国土交通省令で定めるところにより、港湾運送約款を定め、国土交通大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。




(3) 国土交通大臣は、港湾運送事業者の事業について利用者の利便その他公共の利益を阻害している事実があると認めるときは、当該港湾運送事業者に対し、 [事業計画]の変更その他の事業の運営を改善するために必要な措置をとるべきことを命ずることができる。

→根拠法令は、法21条。

(21条)  国土交通大臣は、港湾運送事業者の事業について利用者の利便その他公共の利益を阻害している事実があると認めるときは、当該港湾運送事業者に対し、事業計画の変更その他の事業の運営を改善するために必要な措置をとるべきことを命ずることができる。


(4) 国土交通大臣は、規定により審査した結果、申請が基準に適合していると認めたときは、[禁錮]以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者などに該当する場合を除いては、港湾運送事業の許可をしなければならない。

→ 根拠法令は、法6条2項。

(6条2項) 国土交通大臣は、前項の規定により審査した結果、その申請が同項の基準に適合していると認めたときは、申請者が次の各号のいずれかに該当する場合を除いて、港湾運送事業の許可をしなければならない。
一  禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から五年を経過しない者


(5) 国土交通大臣は、港湾運送事業における運賃及び料金に関する変更命令に関しては、[運輸審議会]に諮らなければならない。

→ 根拠法令は、法31条。

(31条) 国土交通大臣は、港湾運送事業の許可の取消し若しくは事業の停止又は港湾運送事業における運賃及び料金に関する変更命令に関しては、運輸審議会に諮らなければならない。


以上