海事代理士法のまとめ第2弾。資格の取得関連です。

1 海事代理士試験

海事代理士の資格取得方法の1つめである海事代理士試験については,「第二章 海事代理士試験」で定められています。

試験は,毎年1回行われ(4条),試験方法については,一般法律常識・海事に関する法令についての専門的知識・その他海事代理士の業務を行うのに必要な実務上の知識について筆記又は後述の方法で行うこととされています(5条2項)。

試験を受けるにあたっては,受験料を支払う必要があり(7条),この試験に見事合格すると,合格証書が交付されます(6条)。

(試験の執行)
第4条 海事代理士試験(以下「試験」という。)は、国土交通大臣が、毎年一回行う。
(試験方法)
第五条 試験は、海事代理士の業務を行う能力があるかどうかを判定するため、左の事項について筆記又は口述の方法で行う。
一 一般法律常識
二 海事に関する法令についての専門的知識
三 その他海事代理士の業務を行うのに必要な実務上の知識
2 試験に関する規程の制定は、相当の地位及び海事代理士の業務について広い経験を有する者五名の意見を徴してされなければならない。
3 国土交通大臣は、前項の相当の地位及び海事代理士の業務について広い経験を有する者を選定する場合において、海事代理士の共通の利益の増進を目的とする団体又は海事代理士に第一条の事務を委託する者の共通の利益の増進を目的とする団体があるときは、その選定についてこれらの団体のうち国土交通省令で定めるものの意見を徴さなければならない。
4 第二項の意見は、海事代理士になるための公正且つ均等な機会を保障するために、十分尊重されなければならない。

(受験手数料)
第7条 試験を受けようとする者は、実費を勘案して政令で定める額の受験手数料を納付しなければならない。
2 前項の規定により納付した受験手数料は、試験を受けなかつた場合においても返還しない。

(合格証書)
第6条 試験に合格した者には、当該試験に合格したことを証する証書を授与する。

 2 国土交通大臣の認定

なお,もう一つの資格取得方法である国土交通大臣の認定については,海事代理士法施行規則6条に定めがあります。

(資格に係る認定)
第6条 法第二条第二号に掲げる認定を受けようとする者は、申請書に履歴書を添え、住所を管轄する地方運輸局長を経由して国土交通大臣に提出するものとする。
2 国土交通大臣は、遅滞なく前項の書類を審査し、その書類を提出した者が、行政官庁において十年以上海事に関する事務に従事したものであつて、その職務の経歴により海事代理士の業務を行うのに十分な知識を有していると認めたときは、その者に対し、その旨を証する書面を交付するものとする。

(参考 海事代理士法施行規則)

(試験の場所等)
第10条 海事代理士試験を行う場所、日時その他試験に関し必要な事項は、その都度告示する外、各地方運輸局等に掲出する。
(学識経験者)
第11条 法第五条第二項の規定により、国土交通大臣が意見を徴する者は、それぞれ異なる地方運輸局の管轄区域内に居住する者であつて、且つ、政府又は地方公共団体の職員でないものとする。
(意見を徴する団体)
第11条の2 法第五条第三項の規定により、国土交通大臣が意見を徴する団体は、次に掲げるものとする。
一 一般社団法人日本海事代理士会
二 一般社団法人日本船主協会
三 日本内航海運組合総連合会
四 一般社団法人日本旅客船協会
(試験規程)
第12条 法第五条第二項の試験に関する規程は、別に定める。
(受験手数料)
第13条 法第七条第一項の規定による受験手数料は、収入印紙をもつて納付するものとする。ただし、電子情報処理組織により法第四条の試験の受験の申請をする場合において、当該申請を行つたことにより得られた納付情報により納付するときは、現金をもつてすることができる。

(参考 海事代理士試験規程)

海事代理士試験規程を次のように定める。
第1条 海事代理士試験(以下「試験」という。)は、筆記及び口述の方法により行う。
2 口述による試験(以下「口述試験」という。)は、筆記による試験(以下「筆記試験」という。)に合格した者に対して、これを行うものとする。
3 筆記試験に合格した者に対しては、その申請により、次回の試験の筆記試験を免除する。

第2条 筆記試験は、次の事項について行う。
一 憲法、民法(明治二十九年法律第八十九号)及び商法(明治三十二年法律第四十八号)第三編海商についての概括的知識
二 次に掲げる法令についての専門的知識
イ 国土交通省設置法(平成十一年法律第百号)
ロ 船舶法(明治三十二年法律第四十六号)
ハ 船舶安全法(昭和八年法律第十一号)
ニ 船舶のトン数の測度に関する法律(昭和五十五年法律第四十号)
ホ 船員法(昭和二十二年法律第百号)
ヘ 船員職業安定法(昭和二十三年法律第百三十号)
ト 船舶職員及び小型船舶操縦者法(昭和二十六年法律第百四十九号)
チ 海上運送法(昭和二十四年法律第百八十七号)
リ 港湾運送事業法(昭和二十六年法律第百六十一号)
ヌ 内航海運業法(昭和二十七年法律第百五十一号)
ル 港則法(昭和二十三年法律第百七十四号)
ヲ 海上交通安全法(昭和四十七年法律第百十五号)
ワ 造船法(昭和二十五年法律第百二十九号)
カ 海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律(昭和四十五年法律第百三十六号)
ヨ 国際航海船舶及び国際港湾施設の保安の確保等に関する法律(平成十六年法律第三十一号)(国際港湾施設に係る部分を除く。)
タ イからヨまでに掲げる法律に基づく命令
第3条 口述試験は、海事代理士の業務を行うのに必要な実務上の知識について行う。
第4条 試験を受けようとする者(以下「受験者」という。)は、地方運輸局(運輸監理部を含む。以下同じ。)に備え付けてある受験願書に受験希望地その他の所要事項を記入し、これに出願前六月以内に撮影した名刺型写真(脱帽上半身のもので、裏面に氏名及び撮影年月日を記入したもの)を添えて、受験希望地を管轄する地方運輸局の長を経由して国土交通大臣に提出するものとする。ただし、第一条第三項の規定により筆記試験の免除を受けようとする者は、地方運輸局の長を経由しないで国土交通大臣に提出するものとする。
2 前項の受験願書に記載した事項の変更については、受験者は、遅滞なく、その旨を前項に準じて国土交通大臣に届け出るものとする。但し、受験希望地の変更にあつては、遅くとも試験を行う日の七日前までにするものとする。
3 第一項の受験願書及び写真は、試験を受けなかつた場合においても返還しない。
第5条 国土交通大臣は、試験の合格者を決定したときは、遅滞なくその者の受験番号を官報に公示するほか、海事代理士法(昭和二十六年法律第三十二号)第六条の規定により、合格証書を合格者に送付する。
2 前項の合格者の公示は、口述試験終了後二十日以内にするものとする。
第6条 受験者は、試験場内においては、すべて試験係官の指示に従わなければならない。
第7条 国土交通大臣は、不正な方法により試験を受けようとし、又は受けた者に対しては、当該試験を受けることを禁じ、又はその合格を無効とすることができる。
第8条 受験者が、試験の開始時刻までに出席しないとき、又は試験を中途で休止したときは、当該試験を放棄したものとみなす。但し、試験係官が、やむを得ない事由によるものであつて、妥当と認めたときは、この限りでない。