いわゆる「事故物件」に関するガイドライン(指針)案の公表
令和3年5月20日,国土交通省が「宅地建物取引業者による人の死に関する心理的瑕疵の取扱いに関するガイドライン」(案)を公表し,同年6月18日までパブリックコメント(意見公募)を開始しました。各社でニュースになっていますが,読んでみてもなかなかガイドライン案にたどりつけなさそうだったのでリンク等をまとめておきました。
広報ページへのリンク
https://www.mlit.go.jp/report/press/tochi_fudousan_kensetsugyo16_hh_000001_00017.html
ガイドライン(案)のリンク
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000219027
パブリックコメントへのリンク
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=155210315&Mode=0
ざっと読んだ感じのガイドライン案の内容
なんで作ったの?
不動産取引をする場合,その不動産に人の死等による心理的瑕疵があるかどうかについて,売主・貸主による告知が適切に行われることが重要だけど,実際の取引では、不動産取引の専門家である宅地建物取引業者が売主となったり,媒介するケースが多数で,買主や借主は,宅地建物取引業者を通じて告知を受けるのがほとんどだよね。
宅地建物取引業者が売主・貸主となる場合はもちろん,媒介を行う場合でも,不動産取引の実務において極めて大きな役割を果たしていて,売主・貸主が把握している情報が買主・借主に適切に告知されるかは、宅地建物取引業者によるところが大きいよね。
でも,不動産取引の実務では、告知の要否とかその内容について判断が困難なケースがあるから,宅地建物取引業者によって対応が異なってたりしてて,不動産の適正な取引や居住の安定の確保を図る上での課題となってるよね。
だから,トラブルを未然に防止するために,過去に人の死が発生した不動産の取引をする場合に宅地建物取引業者がとるべき対応について,現時点の判例や取引実務に照らして一般的に妥当と考えられるものを整理してガイドライン案を作ったよ。
ガイドラインを守らないとどうなるの?
宅地建物取引業者が本ガイドラインで示した対応を行わなかったとしても,そのことだけですぐに宅地建物取引業法違反になるわけではないけど,宅地建物取引業者の対応を巡ってトラブルとなった場合には、行政庁における監督に当たって、本ガイドラインが考慮されるよ。
民事上の責任については、取引当事者からの依頼内容とか締結される契約の内容等によって個別に判断されるべきものだから,宅地建物取引業者がこのガイドラインに基づく対応を行っていたからといって,民事上の責任を回避できるものではないよ。でも,一般的な基準として本ガイドラインにそって適切に対応してもらえれば,買主や借主が十分な情報を得た上で契約できるようになるから、トラブルは未然に防止されるようになるんじゃないかな。
あと,このガイドラインは,宅地建物取引業者だけじゃなくて取引当事者が判断するときの参考にもなるから,トラブルの防止につながるんじゃないかな。
対象範囲は?
このガイドラインの対象となる事案は,「取引の対象となる不動産で生じた人の死」で,対象とする不動産は「居住用不動産」だけだよ。
どういう場合に告知しないといけないの?
他殺,自死,事故死(ただし日常生活の中で生じた不慮の事故による死を除く。)その他原因が明らかでない死亡が発生した場合は告知してね。
自然死とか,日常生活の中で生じた不慮の事故による死は基本的に告知しなくてもいいけど,特殊清掃等をした場合は告知してね。
(令和4年9月8日追記)
策定されたガイドラインはこちら。
https://www.mlit.go.jp/report/press/tochi_fudousan_kensetsugyo16_hh_000001_00029.html