0 はじめに

 これまで,「SWOT分析」や「TOWS分析」についてまとめてきましたが,今回は,もう一つの統合分析手法である「3C分析」について,備忘録的にまとめておきます。

1 3C分析とは

 3C分析とは,顧客・競合・自社の3つの視点から現状を分析する手法です(なお,書籍によっては,customerを市場と訳していたり,competitorを他社と訳しているものもあり,やや揺れがあります。)。

 そして,3C分析の主たる目的は
 ①市場のKFS(重要な成功要因)を探ること(経営戦略研究会『経営戦略の基本』51頁参照)
 ②市場の変化に対応している競合企業を見習い,自社の改善ポイントをあきらかにするとともに,市場の変化や競合の対応を見た上でビジネスチャンスを見つけ出し,いち早くそのチャンスをつかみ自社を成長させること(牧田幸裕著『フレームワークを使いこなすための50問』68~70頁参照)

2 顧客(市場)・競合と自社の切り分け

 というわけで,3C分析では,現状を3つの視点から分析していくわけですが,まず,顧客(市場)・競合と自社の切り分けについては,SWOT分析における内部・外部の切り分けと同様に「自社がコントロール可能なものが自社,コントロール不可能なものが顧客(市場)・競合」という基準で分類するのが適当ではないかと思います。

3 顧客(市場)と競合の切り分け

 次に,顧客(市場)と競合の切り分けについてですが,この点については,自明のものとされているのか,今のところ切り分け基準に関する記載をみつけることができませんでした。
 この点については,需要と供給という観点からみると競合は自社と同じ供給側に分類されることから,顧客・市場と自社との切り分けと同様,「競合がコントロール可能なものが競合,自社も競合もコントロール不可能なものが顧客(市場)」という基準により分類するのが適当ではないかと思います。

4 どこから手をつけるか?

 3C分析をどの視点から検討するかについては,特に記載がない書籍も多く,明記されている場合であって書籍により検討順序が異なっています。
 ①牧田幸裕著『フレームワークを使いこなすための50問』
  3C分析の目的から,市場→競合→自社の順で検討するとされています(70頁)
 ②上杉惠理子著『弱者でも勝てるモノの売り方』
  他にない独自の商品を生み出すため,自社→顧客→他社で検討すべきとされています(40~41頁)

 ②の自社分析からはじめて,顧客や他社の分析を通じて検証するという流れでも構わないと思うのですが,確証バイアスによって顧客や他社の分析が無意識に歪められてしまう可能性があることや,アイデアの独自性は他の方法により生み出すことが可能であると考えられることから,個人的には①市場→競合→自社の順で検討する方法をおすすめします。

参考文献