旧法と新法の比較

①債権(原則)
 10年間行使しないとき消滅する(旧167条1項)→ 行使することができることを知った時から5年,行使することができる時から10年に変更された(166条1項)
 ※主観的起算点が追加された。いずれかの期間の満了で消滅時効が完成する。

①-2債権(生命身体侵害)
 人の生命又は身体の侵害による損害賠償請求権の消滅時効については,行使することができることを知った時から5年,行使することができる時から20年となる(167条)。
 ※死亡事故等の場合

②所有権
 消滅時効にかからない
→ 変更なし

③債権または所有権以外の財産権
 権利を行使することができる時から20年間行使しないとき消滅する(旧167条2項)→ 変更なし(166条2項)

④定期金債権
 省略(旧168条 → 168条1項)

⑤定期給付債権
 省略(旧169条) → 削除

⑥3年の短期消滅時効(旧170条・171条) → 削除

⑦2年の短期消滅時効(旧172条・173条) → 削除

⑧1年の短期消滅時効(旧174条) → 削除

⑨判決で確定した権利(旧174条の2)
 確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって確定した権利については10年になるが(1項),確定の時に弁済期が到来していない債権には適用されない(2項)。→ 変更なし(169条)

⑩不法行為(原則)
 被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないときは,時効によって消滅する。不法行為の時から20年を経過したときも,同様とする(旧724条)。→ 損害及び加害者を知った時から3年,不法行為時から20年(724条)
※後段は,従来除斥期間と考えられていたが(最判平成元年12月21日),改正により消滅時効であることが明記された。

⑩-2 不法行為(生命身体侵害)
 生命又は身体を害する不法行為による損害賠償請求権については,損害及び加害者を知った時から5年,行使することができる時から20年となる(724条の2)

⑪商行為債権(旧商法522条)
 5年間行使しないとき → 削除

比較を踏まえたまとめ

 一般的に,客観的起算点と主観的起算点は重なることが多いと考えられるため,基本的に債権は5年で時効にかかるが,不法行為かつ生命身体侵害がないものについては,3年で時効にかかる(例外①)。ただし,判決等を取得すると10年に伸びる(例外②)。
 客観的起算点と主観的起算点が重ならないものについては,従前の不法行為と同様に,客観的からの経過期間(原則10年,不法行為や生命身体侵害によるものは20年)に注意が必要である。
 なお,従前どおり,所有権は消滅時効にかからないし,債権・所有権以外の財産権の時効は20年である。