1 はじめに 

 令和元年11月14日付けで,日弁連の会員専用ページに「弁護士情報セキュリティに関する注意喚起(『freeml』のサービス終了に伴うメーリングリストの移行について)」が掲載されました。

 内容としては,「freemlのサービス終了に伴って,今後メーリングリストの移行をするかもしれないけど,無料版Googleグループはやめとけ。情報セキュリティガイドラインにひっかかるぞ!」というものです。

2 どうして無料版Googleグループではだめなのか?

 無料版Googleの利用規約の「本サービス内のユーザーのコンテンツ」部分に,以下のようなものが含まれているからということです。

 本サービスにユーザーがコンテンツをアップロード、提供、保存、送信、または受信すると、ユーザーは Google(および Google と協働する第三者)に対して、そのコンテンツについて、使用、ホスト、保存、複製、変更、派生物の作成(たとえば、Google が行う翻訳、変換、または、ユーザーのコンテンツが本サービスにおいてよりよく機能するような変更により生じる派生物などの作成)、(公衆)送信、出版、公演、上映、(公開)表示、および配布を行うための全世界的なライセンスを付与することになります。このライセンスでユーザーが付与する権利は、本サービスの運営、プロモーション、改善、および、新しいサービスの開発に目的が限定されます。このライセンスは、ユーザーが本サービス(たとえば、ユーザーが Google マップに追加したビジネス リスティング)の利用を停止した場合でも、有効に存続するものとします。本サービスの一部では、ユーザーがそのサービスに提供したコンテンツにアクセスし、それを削除する方法が提供されることがあります。さらに本サービスの一部には、そのサービスに提供されたコンテンツの Google による利用範囲を狭める規定または設定があります。本サービスに提供するコンテンツについて、このライセンスを Google に付与するのに必要な権利を保有していることを必ずご確認ください。

 このあたりは,「士業のためのオンラインストレージ入門」でもすこし触れたところでしたね。これが,情報セキュリティガイドラインのうち,以下の部分に抵触するということのようです。

第6 情報の保管 
 4  保管(外部サービス)
(1) 弁護士は,外部サービスを用いてデータを取り扱うときは,当該外部サー
ビスを運営する者が規約等で利用者に対し第三者への情報提供をしないこと
を保証していることを確認し,保証していない場合は当該外部サービスを利
用しないこと。

 ただ, 無料版Googleグループの利用だけをもって「情報セキュリティの観点から問題が生じる」と言い切っていいかについては少し疑問です。
 同ガイドラインによれば,ここにいう「データ」とは,事件情報,個人情報,その他の弁護士の守秘義務の対象となる情報(以下「事件情報等」という。)を電磁的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で記録したものであって,コンピュータ(以下「PC」という。)による情報処理の用に供されるものをいう(第2 定義 2)と限定されていますので,弁護士の守秘義務(弁護士法23条,職務基本規程23条参照)の対象とならない情報のみを扱うメーリングリストの場合には,上記部分に抵触しない可能性があるからです。

3 じゃあ,どのメーリングリストサービスを使えばいいの?

 といっても,メーリングリストにはどんな情報が流されるかわからないので,やっぱり無料版Googleグループの利用は避けたいところですよね。日弁連が公言しているわけだし。

 しかし,ざくっと調べたところ,上記の要件をみたすような無料メーリングリストサービスはなさそうな感じでした。

 ・・・どうするんでしょうね。