求釈明ができる範囲とか
求釈明とは?
実は民事訴訟法には出てこない
いきなりですが、民事訴訟法では「求釈明」という単語は出てきません。
根拠条文
実務で「求釈明」と呼ばれているのは、民事訴訟法149条3項「当事者は、口頭弁論の期日又は期日外において、裁判長に対して必要な発問を求めることができる。」という規定に基づいて、裁判長に発問を求めることを言います。
宛先は裁判長
したがって、求釈明は、相手方当事者に対してではなく、裁判長に対して行います。
範囲は無限定?
条文上は
この条文だけを見ると、当事者はどんなことについてでも裁判長に対して発問を求めることができるような気がしますし、実際、主張や証拠の提出を要求するような「求釈明」を受けることもあります(中には裁判所をすっとばして直接相手方に対して主張や証拠の提出を求めるようなものも・・・。)。
が、少しさかのぼって民事訴訟法149条1項をみると、「裁判長は、口頭弁論の期日又は期日外において、訴訟関係を明瞭にするため、事実上及び法律上の事項に関し、当事者に対して問いを発し、又は立証を促すことができる。」とされています。
結局のところ
求釈明は、同条の3項に基づいて、裁判長に対してなされるものでした。とすれば、求釈明の範囲も、裁判長が発問し、又は立証を促すことができる範囲に限られるものと考えられます。
つまり、求釈明は、訴訟関係を明瞭にするための事項(基本的には、当該当事者が主張立証責任を負う事項?)でなければならず、それを超えて相手方に主張や証拠の提出を求めることはできません。
回答義務はあるの?
条文上は?
求釈明及び一般的な回答義務はありません。
事実上は?
回答しないと「弁論の全趣旨」として事実認定上不利に扱われるということはあり得るかもしれません。
回答義務はないけれど
発問がなされたのであれば、裁判長にはなにかしら意図があると考えられますので、その意図を汲み取って検討する必要があります。
ちゃんとした使い方は?
きちんとした使い方は、①認否等をする前に、内容をはっきりさせるとか、②主張を固定させるというくらいなのではないでしょうか。
少なくとも、証拠不足を補うためにやるというのは本来の趣旨から外れているものですし、そういうことをすると手の内がバレるので、依頼者のためにもならないのではないでしょうか。
以上