1 はじめに

 最近,〇〇コンサルティングと称して,法律相談的なことをされているところを見つけましたので,コンサルティングという名前をつければ弁護士法違反にならないのかについて調べてみました。

3 コンサルティングとは

 コンサルティングとは,「専門家の立場から相談にのったり指導したりすること,また,企画・立案を手伝うこと。」(デジタル大辞泉)らしいです。

2 弁護士法で引っかかりそうなところ

 というわけで,e-Govちゃんにご協力いただいて弁護士法に引っかかりそうなところを探したところ,弁護士法72条が,「弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。 」と規定しています。

 このうち,上記コンサルティング業務が該当しそうなのは,「鑑定」という部分ですかね。

3 弁護士法72条の「鑑定」とは

 弁護士法72条の「鑑定」とは,「法律上の専門的知識に基づいて法律事件について法律的見解を述べること」と解されています(日本弁護士連合会調査室編著「条解弁護士法」第4版 620頁)。

 当該「鑑定」は,上記のとおり,「法律事件について法律的見解を述べる」ものに限定されていますので,抽象的なケースについて法律的見解を述べるもの(たとえばこのブログとか,法律学の教科書とか・・・)については,弁護士法72条違反になりません。
 また,個別具体的なケースについて話をする場合であっても,法律的見解以外を述べること(たとえば,けしからんことですね!というとか。)についても,弁護士法72条違反にはなりません。

4 結局のところ

 弁護士法違反になるかどうかは,名称ではなく,①個別具体的なケースについて,②法律的見解を示しているかどうかで決まりますので, 「コンサルティングって言ってるから大丈夫!」ということはありません。気をつけましょう。