1 名前を変えたくなったら

 「名前を変えたいがどうしたらいいか」というご相談を受けたことがあったので、名前を変えたくなったときの対処法について。

2 検討事項1 そもそも変更手続は必要か?

 まず、名前の「読み方」だけを変えたい場合ですが、・・・手続不要です。おめでとうございます。

 というのも、法律的には、戸籍や住民票の記載事項に読み方が含まれていない(戸籍法13条・住民基本台帳法7条)ので、氏名の記載方法(文字)に変更がなければ、特に変更をするものがないのです。好きに読ませましょう。

例:「雷電」と書いて「サンダーボルト」と読むが、これを「らいでん」という読み方に変えたい

3 検討事項2 理由が認められるか?

氏を変えたい場合

 氏を変えたい場合は、「やむを得ない事由」が必要です(戸籍法107条1項)。

 通姓の永年使用や、珍奇・難解・難読である場合等に認められる場合がありますが、名前を変えたい場合と比較して、厳しい印象です。できれば申立前に、弁護士のところに相談に行ったほうがいいでしょう。

 なお、同一戸籍内の人は全員同じ氏でないといけないので、変更が認められると、戸籍内の人の氏がまとめてかわります。そこで、配偶者がいれば一緒に申立をしなければなりませんし(戸籍法107条1項)、戸籍内に15歳以上の者がいればその人の意見もきかなければなりません(家事事件手続法229条1項)。

 例:「佐藤」という名字を「鈴木」に変えたい。

名前を変えたい場合

 名を変えたい場合は、「正当な事由」が必要です(戸籍法107条の2)。

 家裁の申立書によれば、
 ①奇妙な名前であること
 ②難解難読で正確に読まれない名前であること
 ③同姓同名者がいて不便であること
 ④異性とまぎらわしい名前であること
 ⑤外国人とまぎらわしい名前であること
 ⑥神官若しくは僧侶となるため、又は、これをやめるため、名の変更が必要で
  あること
 ⑦戸籍上の名ではない名を通称として永年使用し、社会生活上もこれがその人
  の名として通用していること
 ⑧その他、名の変更を必要とする場合があること
 等が理由になっています。

 変更したいと言われる場合、だいたい①や②、③に該当することが多いのですが、これらに該当しないと判断された場合に備え、⑦通称として永年使用していることを証明できる書類を集めておいたほうがいいでしょう。

 例:「雷電(サンダーボルト)」という名前を、「太郎(たろう)」という名前に変えたい
 → ①、②、⑤と⑦を理由として申立

名前の変更2:戸籍の訂正

 届出の直後などであれば、戸籍法113条による戸籍の訂正で行けることもあります。こちらも検討してみましょう。

 戸籍の訂正の場合の要件は、

①戸籍の記載が法律上許されないものであること
②その記載に錯誤若しくは遺漏があることを発見した場合

です。

例:出生届に「雷電」と記載するつもりだったが、「電電」と記載してしまった

4 検討事項3 再度の改名でないか?

 なお、上記事由が認められても、再度の改名である場合には、原則として許されないとされています。例外として認められる余地もありますが、基本的に、改名は1度きりだと考えて慎重に行いましょう。

5 具体的手続 

とりあえず家庭裁判所に行く

 とりあえず家裁に行って、氏名の変更の審判の申立をしたいということを相談しましょう。申立書の雛形をもらえるはず。

 あとは、戸籍謄本(全部事項証明書)や、やむを得ない事情や正当な事由を証明する資料、15歳以上の者の同意書(氏の場合のみ)、郵便切手・印紙を揃えて申立をします。

許可の審判書と確定証明書をもらう

 審判が出たら、確定証明書を請求しましょう。

役所で届出をする

 審判書と確定証明書がもらえたら、役所に行って届出をします。

 戸籍や住民基本台帳が変更されれば、公的にも氏名の変更は完了です。お疲れ様でした。