1 相続が開始する条件 基本編

 民法上、相続は、死亡によって開始する(民法882条)と規定されています。したがって、被相続人(相続される人)が死亡したときが相続開始の基本です。

2 応用編1 今どうしてるかわからないけど・・・失踪宣告

 また、被相続人が死亡したかどうか不明な場合について、民法は失踪宣告(民法30条)という制度を用意しています。この制度を利用することにより、生死が不明な場合についても、残された財産(朽ち果てた不動産等)の処理を行うことができます。

 この場合の適用関係は、
 ① 期間の経過(30条Ⅰ・Ⅱ)
 ② 利害関係人が家庭裁判所に失踪宣告を請求(30条Ⅰ・Ⅱ)
 ③ 失踪宣告により不在者等が死亡したものとみなされる(31条)
 ③ 死亡したものとみなされる結果、相続が開始(882条)
 という流れになります。

3 応用編2 さらに応用・・・認定死亡

 この条文については最近まで知らなかったのですが、戸籍法89条を根拠として、「認定死亡」という制度が認められています。

 先に述べた失踪宣告は、かなり時間がたった後にしかできない方法でしたが、こちらはより死亡した蓋然性が高い「水難・火災・その他の事変」が生じた場合で、かつ官庁又は公署が報告をした場合に限り、即時に死亡を擬制することができる制度です。

 この場合の適用関係は、
 ① 事変の発生
 ② 官庁又は公署が死亡の報告(戸籍法89条)
 ③ 死亡の報告により相続開始(民法882条)

 ちなみに、この認定死亡は、有斐閣の判例六法2019にも登載されているメジャーな条文・・・冗談です。戸籍法って全文読む機会がほとんどありませんよね。
 

4 相続の開始をどうやって調査するか?

 このような相続の開始原因については、いずれも戸籍(原戸籍も含む)に記載されることになります。したがって、相続が開始したか不明な場合には、被相続人と思われる人の戸籍を調査することによって相続開始の有無を調べることができます。

 ・・・ただ、この辺が問題になる事案といえば、不在者の不動産をどうするかという問題がほとんどで、一般的な相続事件の場合はめったに問題にならないんですよね。