1 インターネット普及以前の購買行動モデル
マーケティング戦略を検討するうえで参考とされる「購買行動モデル」(消費行動モデル)というものがあります。この購買行動モデルのうち,インターネットが普及する以前に提唱されたもの,たとえば,AIDAモデルでは,消費者は,広告等で製品やサービスの存在を知り(A 注意),興味を持って(I 興味),欲しくなって(D 欲求),購入する(A 行動)と考えられていました。
2 インターネット普及後の購買行動モデル
インターネットが個人にも普及した2000年代前半に提唱されたモデル,たとえば,AISASモデルでは,消費者は,製品やサービスの存在を知り(A 注意),興味を持って(I 興味),検索して(S 検索),購入し(A 行動),その評価を共有する(S 共有)と考えられるようになりました。
なお,AISASモデルを発展させたAISCEASモデルでは,検索と購買までの間に,商品やサービスを比較し(C 比較),どれがいいかを検討する(E 検討)というステップが入ると考えられています。
3 近年の購買行動モデル
そして,端末や通信技術の発展によって,より大規模なサイトが,より安価に運営できるようになった2010年代に提唱されたモデル,たとえば,DECAXモデルでは,消費者は,(自身が抱える問題について検索することを前提として)有益なコンテンツを発見し(D 発見),当該コンテンツ等により事業者との関係性を深め(E 関係),その事業者が提供している商品やサービスを確認して(C 確認),購入し(A 行動),商品等による体験やその感想などを共有する(E 体験/共有)と考えられています。
4 購買行動モデルの変遷から読み取れること
これまで記載してきたとおり,1990年代後半から爆発的に普及したインターネットは,消費者の行動を変容させ,現在では,「インターネットで検索する」ことが購買行動の一部ないし前提となっています。
このことは,インターネットのみで顧客を獲得する場合ばかりでなく,口コミや紹介等で顧客を獲得する場合も同様です。インターネット普及前とは異なり,紹介等を受けた消費者が調べたり確認したりするのは,電話帳ではなくインターネットです。そのとき,ウェブサイトを持っていないとどうでしょうか。事業の存在から疑われてしまい,せっかく顧客になってくれそうな人をみすみす失ってしまうことにもなりかねません。
このように,現代において事業を行うにあたっては,メインの集客方法に関わらず,ウェブサイトを構築しておくことはほぼ必須となっているということができます。