1 はじめに

 前回の記事では,現代において事業をやるうえでウェブサイトの構築が必須であることについて書きました。今回は,その続きで,ウェブサイト構築の第一歩についてです。

2 まずはウェブサイトの役割を決めよう

 ウェブサイト構築の第一歩は,ウェブサイトの役割を決めることです。その理由は,役割が決まらないと,どの程度作ればいいのかが決まらないからです。

 たとえば,ウェブサイトの役割が,電話帳のように「事業所の存在と連絡先を知らせる」というものだけであれば,地図や連絡先,取扱業務など,最低限の情報だけをのせ,「(地域名) ○法律事務所」といった内容で検索すれば出てくるようにすればその役割を十分に達成することができます。したがって,この程度のウェブサイトを構築すればいいことになります。

 一方で,ウェブサイトに,集客,購買行動モデルでいえばAISCEまでの役割を割り当て,A(購買)のみを店舗で行おうとするのであれば,上記のような状態では不十分でしょう。もっと消費者が抱えている問題に近い言葉で検索した場合に上位に表示される必要があります。

 たとえば,離婚に関することで困っているが,知り合いに弁護士がいない消費者の場合,いきなり「(地域名) ○法律事務所」で検索することはないでしょう。そもそも「○法律事務所」が知覚されていないからです。おそらく,こういった状況の消費者は,まず,「離婚 (問題)」といった内容や,「離婚 弁護士」くらいの内容で検索するのではないでしょうか。このときに比較検討(CE)の対象に入るためには,消費者の目にとまる必要,つまり,検索上位(できれば1ページ目)に入る必要があります。

 このように,ウェブサイトに集客等の役割を求めるのであれば,ターゲットを設定して,ターゲットが検索しそうなワードで検索した際に当該ウェブサイトが検索上位に表示されるような施策(SEO,リスティング広告等)を行ったり,そのターゲットが選びたくなるようなコンテンツ等を充実させる必要があります。

3 おおまかな方向性

 以上のとおり,ウェブサイト構築の第一歩は,ウェブサイトの役割を決めることですが,それだけ言われても役割を決められないと思いますので,参考として,大まかな方向性を3つ示したいと思います。

①名刺の補完・電話帳型

 参考例は,法テラスのサイトです。法テラス長崎のURLを記載しておきますが,見事に最低限の情報しか載せられていません。

https://www.houterasu.or.jp/chihoujimusho/nagasaki/index.html

②中間型

 参考例は,ほとんどの法律事務所のサイトですが,とりあえずうちのURLを記載しておきます。

 ちなみに,うちのサイト本体は「名刺の補完」と割り切っているので,単体だと①の分類に入りますが,コンテンツの部分をこのブログで補完しているので,実は中間型になります。コンテンツがニッチすぎて集客にはつながっていませんが・・・

https://asahi-lawfirm.com/

③コンテンツ充実型

 参考例は,みずほ中央法律事務所さんのサイトです。興味がある方はググっていただきたいのですが,大量のQ&Aが掲載されており,コンテンツがとても充実しています。

4 おすすめは

 おすすめは,とりあえず①名刺補完・電話帳型で作って,役割の拡充が必要であれば,ターゲットの設定等をして②中間型に移行し,最終的に③コンテンツ充実型にして行くという流れです。

 理由は,前回の記事でもご紹介したとおり,現代で事業をするのであれば,ウェブサイトの構築は必須だからです。作り込むためにウェブサイトがないという状態が続くくらいであれば,まず簡単でも作って育てていくという方がいいのではないかと考えます。