ハム将棋とは
ハム将棋とは、以下のリンクから訪問すれば今すぐ将棋が指せるフリーの将棋ソフトです。
私も、将棋にハマった大学3年生のころ、このハム将棋の存在を知り、さっそくこのかわいいハムスターに勝負を挑みました。
しかし、結果は惨敗。このハムちゃん、可愛い顔して棒銀という単純だけど破壊力抜群の戦法を使ってくるのです。
しかも駒を取るたびに喜んでくる。まさに鬼畜。
同級生相手ならそこそこ指せていたつもりだった私は、ハムさんに負けたのが悔しく、それからしばらくいろんな本を買って勉強しました。
月日がたつにつれ、次第にハムちゃんが悔しがるのが多くなり、適当に指しても負けなくなったころ、私はアマチュア初段になっていました。
ハム将棋を倒すための作戦 ①原始棒銀
はじめに
そんな思い入れのあるハム将棋を久々に見かけたので、昔の私のように、ハムちゃんに負けて悔しい思いしている方のために、戦い方のヒントを書いておきたいと思います。
ちなみに、私、アマチュア初段の免状をもらいましたが、その後まともに勉強したりしていないので、今はせいぜいアマチュア1〜2級くらいのレベルしかありません。したがって、高度なことは書けませんのでご了承ください。
今回の作戦 原始棒銀(先手)
では、さっそく内容に入っていきましょう。
まず、先に述べたとおり、ハムちゃんは「棒銀」という単純だけど破壊力抜群の戦法を使ってきます。ですので、こちらの方針としては、①ハムちゃんの棒銀が威力を発揮する前にこちらの攻めを成功させる、あるいは②棒銀がくることを前提に対応するという2つが考えられます。
②棒銀がくることを前提に対処するという方針でもいいのですが、今回は、手っ取り早く勝てて、しかもハムちゃんが使ってくる棒銀のねらいを知ることもできるという意味で、こちらも「棒銀」という戦法を採用してハムちゃんをたたきのめしたいと思います。
なお、今回はこちらが先手の場合です。
飛車先の歩を処理する
将棋の出だしは、飛車の前にある歩か、角の斜め前にある歩をついて飛車や角を使えるようにするのが一般的です。
原始棒銀戦法では、飛車と右側にある銀の連携で敵陣突破を図りますので、まずは飛車先の歩を処理すべく、前に進めていきます。
これに対し、ハムちゃんは先手・後手にかかわらず、初手は必ず3二金としてきますが、この手には、2二にある角の頭を守るという意味があります。
こちらはさらに飛車先の歩を進めますが、ハムちゃんは角を使えるようにするため、3三にあった歩を突いてきます。
飛車先の歩がなくなれば、飛車の動ける範囲(効き)が最大限に発揮されるようになります。怯まずさらに歩を進めて歩を交換しましょう。
▲2四歩 △同歩 ▲同飛
しかし、ここにきてハムちゃんの3二金が生きてきます。ここに金がいなければ2三の地点に歩を打たれても同飛成で龍ができるのですが、3二に金があるので、2三歩と打たれるといったん飛車を引くほかありません。
ちなみに、3四にある歩をとるという横歩取り戦法という作戦もありますが、基本振り飛車メインの私にはわかりかねますので割愛します。
△2三歩 ▲2八飛
飛車を引く位置については、2八と2六の2つがあるのですが、今回はもとの位置に戻る2八まで引いています。
棒銀を繰り出す
さて、ここからが棒銀戦法の棒銀と呼ばれる所以です。
ここからしばらくは、右側の銀だけ操作してぐいぐい前に進めていきます。
△4二銀 ▲3八銀 △6二銀 ▲2七銀 △4一玉 ▲2六銀
飛車の横を通った銀が、飛車の前を棒のように1直線に進んでいきます。
銀が棒のように進むから「棒銀」ですね。
これに対してハムちゃんは、6二銀という攻めなのか守りなのかわからない手をはさみながらも、4二銀や4一玉として玉の守りを固めようとします。先手の棒銀はまにあうでしょうか。
なお、ハムちゃんが守りを固めるのに先手は守りを固めなくてもいいのかと考えるかもしれませんが、棒銀本筋以外のことに手数を使っていると、今度はハムちゃんが棒銀で逆襲してきます。
手は金なりと思い、守りを捨てて突破にいきましょう。先に潰せば攻められませんから、守りを固める必要はないのです。
ハムちゃん防衛網の穴は?
△5二金と守りを固めてくるハムちゃんに対し、こちらは▲2五銀と銀を進めます。
これに対し、ハムちゃんは△3三銀として矢倉チックな防衛網を構築します。
しかし、ここでひるんではいけません。銀の前に歩(▲2四歩)を打って攻撃をしかけましょう。
これに対し、ハムちゃんはなぜか飛車先の歩を進めてきますので、ありがたく歩を進めて成り込みます(▲2三歩成)。しかたないので金で取るハムちゃん(△同金)。
さて、ここがポイントです。この局面で、単純に銀を進めてしまうと同銀・同飛・同金で飛車が取られてしまいますが、あることをするとハムちゃん防衛網をガタガタにできます。どうすればいいでしょうか。
答えは▲2四歩。もう一度歩を打つと、金は斜めに下がれないので、△1四と前に出るしかできません。
むざむざと前に出てきた金をゲットし(▲同銀)、△同歩に残った2四の歩を進めてと金ができます(▲2三歩成)。金がとられた上に、さらに銀か角が取られるハムちゃん防衛網はもはやボロボロ。妥当ハムちゃんまであと一息です。
ハムちゃんを仕留める
瀕死のハムちゃんは、角を逃しますが(△3一角)、先手はさらに銀をゲットしたうえに(▲3三と金、△同桂)、龍を作ることに成功します(▲2一飛成)。
ハムちゃんは、銀を打って防衛を図ります(△3二銀)が、先手はさらに香車をゲットします(▲1一龍)。
これに対し、ハムちゃんはなぜか銀を前に出してしまいます(△2三銀)。どうしたハムちゃん。
ここからはいろいろな指し方があるのでしょうが、私はとりあえず両取りをかける▲2二金。ハムちゃんは△2一歩としてきます。
が、他の駒とつながっていないので普通に▲同龍ととります。なお、ここで歩を金でとると、玉とのおいかけっこが始まってしまうので、同金ではなく同龍でとるのがおすすめ。
すると、ハムちゃんの玉が5一に逃げるので(△5一玉)、龍で角をとって(▲3一龍)ハムちゃんを仕留めることができました。全部で39手。
ハムちゃんは歩しか持っていないので、間に駒を打って守るということができないんですね。
終局図
まとめ
以上のように、抜群の破壊力を持つハムちゃんの棒銀も、棒銀が飛んでくる前に攻め潰してしまえばまったく怖くありません。
ポイントは、まず①飛車先の歩を処理する、②次に銀を進め、歩・銀・飛車のコンビネーションでハムちゃん防衛網を破壊する、③棒銀に関連しない手を指さないという3つです。
ポイントをおさえたら、さっそくハムちゃんにリベンジにいきましょう。
今度こそハムちゃんの落ち込んだ姿が見られるかもしれませんよ。
※今回は先手番でしたが、後手番については次回。