1 はじめに

 たまに,「法定代理人である弁護士・・・」というような文書をみかけるのですが,たいがい「それは法定代理じゃなくない?」ということが多いので,ちょっとまとめてみました。

2 代理とは

 そもそも代理とは,「本人に代わって他人が法律行為をするのにその効果が本人に帰属すること」をいいます。そして,この代理には,①任意代理と②法定代理の2種類があります。

3 任意代理と法定代理

 このうち,①任意代理とは,委任契約等によって代理権が生じる(与えられる)場合をいいます。これに対し,②法定代理とは,法律の規定によって代理権が生じる場合をいいます。
 代理権が生じる根拠によって分類されているということですね。

 ちなみに,①任意代理の具体例は,弁護士と委任契約を締結して訴訟の代理を依頼する場合,②法定代理の具体例は,親権者や後見人です。

4 法定代理人とは

 そして,本人に代わって法律行為をする人を「代理人」と呼んでいるわけですが,この中でも「法定代理人」と呼ばれるのは,代理権が②法定代理の場合です。
 したがって,弁護士が後見人等に就任している場合は弁護士も法定代理人ですが,一般的な委任契約に基づく代理人である場合は,法定代理人ではありません。ただの代理人です(「任意代理人」という言葉はあまり使われていない)。

 おそらく,弁護士法の関係で弁護士以外は交渉等ができない→法律に定められた代理人なんだという感じで「法定代理人」という用語を使われているのかと思いますが,わりと気になったのでよろしくお願いいたします。