先日、裁判所の方が「弁護士事務所」という言葉を使われていたので気になったのですが、弁護士の事務所は、弁護士法上、必ず「法律事務所」と称しなければならないこととなっています(20条1項)。そのため、弁護士が設置している「●●弁護士事務所」というのは(多分)存在しません。
試してみたことはありませんが、弁護士会に登録(登録替え)するときに、「法律事務所」以外の名称でやろうとすると指摘が入って変更させられるんじゃないでしょうか・・・。なお、「A法律会計事務所」や、「B法律経済事務所」、「C法律税務事務所」、「D法律経営事務所」といったように、「法律」と「事務所」の間に別のワードが入るパターンは結構あります。
ただ、Googleトレンドで対比してみると、結構「弁護士事務所」というワードでも検索されているようで、事務所のサイトにも『長崎 弁護士事務所』というキーワードでアクセスしていただいている方が結構いました(上から6番目くらい。)。
弁護士法と異なり、行政書士法や司法書士法、社会保険労務士法には、特定の事務所名を称しなければならないという規定はないのですが、「●●行政書士事務所」や「●●司法書士事務所」としているところが多いので、その流れで弁護士事務所というワードが一般化したのかもしれませんね。このまま一般化したら「弁護士事務所」も認められるようになったりするのでしょうか。
参考:弁護士法
(法律事務所)
第二十条 弁護士の事務所は、法律事務所と称する。
2 法律事務所は、その弁護士の所属弁護士会の地域内に設けなければならない。
3 弁護士は、いかなる名義をもつてしても、二箇以上の法律事務所を設けることができない。但し、他の弁護士の法律事務所において執務することを妨げない。
(非弁護士の虚偽標示等の禁止)
第七十四条 弁護士又は弁護士法人でない者は、弁護士又は法律事務所の標示又は記載をしてはならない。
2 弁護士又は弁護士法人でない者は、利益を得る目的で、法律相談その他法律事務を取り扱う旨の標示又は記載をしてはならない。
3 弁護士法人でない者は、その名称中に弁護士法人又はこれに類似する名称を用いてはならない。
(虚偽標示等の罪)
第七十七条の二 第七十四条の規定に違反した者は、百万円以下の罰金に処する。