1 iPhoneで撮影した画像を転送したらPCで使えない?

 カメラ機能の強化によりますます使い勝手の良くなったiPhone。特に近年発売されたカメラが複数搭載されているシリーズについては、一昔前に購入したデジタルカメラよりも画質がいいんじゃないかというものもあり、業務でも活用されている方も多いのではないでしょうか。

 しかし、せっかく撮影した写真や動画を転送しても、一部のPC(主にWindows)では表示できないことがあります。

2 iOS11以降のファイル形式は基本「.heic」と「.hevc」

 どうしてこのような問題が起こるかというと、iOS11以降、カメラで撮影した静止画像ファイルの形式がJPEG(拡張子は.jpg)からHEIF(読み方はヒーフ、拡張子は.heic)に、動画ファイルの形式がH.264(MPEG-4/AVC、拡張子は.mp4とか.m4vとか)からHEVC(拡張子は.mov)に変更されたからのようで、macOS High Sierraより前のmacOSを登載したPCや、Windows10搭載のPC(の一部?)では、デフォルトアプリでこれらのファイルを扱えません。

3 どうしてファイル形式が変更されたの?

 HEIFは「High Efficiency Image File Format」の略、HECVは「High Efficiency Video Coding」の略で、直訳するとそれぞれ「高効率画像ファイル形式」・「高効率映像規格」となります。その名のとおり、画像ファイルや動画ファイルを効率よく圧縮できる形式であるため、以前の形式と比べ、同じ画質でもファイルの容量をおさえて保存することができるようになります。

 iOS11のリリース日はiPhoneX発売の直前でしたので、カメラ性能の向上(たしかiPhone7plusくらからデュアルカメラが搭載されてましたよね。)にあわせて、高画質の写真や動画をより多く保存できるようにファイル形式を変更したって感じでしょうか。

4 事情はわかったけどどうしたらいいの?

対応策1 そもそもHEIF/HEVCにしない

 根本的な対策として、そもそも記録するときにHEIF等にしなければ問題は生じません。
 この方法を採用する場合は、iPhone側で、「設定」→「カメラ」→「フォーマット」を選択し、高効率→互換性優先に切替えればOKです。
 ただし、この対応策をとる場合、圧縮効率を捨てることになりますので、こまめにファイルを整理しないとあっというまにストレージ容量を使いきってしまうため要注意です。

対応策2 macOSをアップグレードする

 PCがmacOSの場合は、macOS High Sierra以降であれば、デフォルトアプリでHEIC/HEVCが扱えるようになります。古いOSはセキュリティ的にも心配なのでできる限りアップデートしましょう。

対応策3 ウェブサービス等でJPGに変換する

 対応策1・2をとらない(とれない)場合、ウェブサービスを通じてJPGに変換することもできます。「HEIC JPG」等で検索してみてください。

対応策4 拡張機能をインストールする

 扱いたいファイル数が多かったり、ウェブサービスの利用がはばかられる等、対応策3も採用しづらい場合は、Microsoft Corporation社製の以下のアプリを取得してみましょう。取得すると、HEICファイルやHEVCファイルが扱えるようになります。
 ・HEIF 画像拡張機能
 ・デバイス製造元からの HEVC ビデオ拡張機能
※なお、HEICファイルだけを扱いたい場合でも、上記アプリを2つとも取得しないといけない場合があるようです。