平成27年海事代理士試験 民法の解説

1.民法の条文を参照した(1)~(5)の各文章について、正しいものに○、誤っているものに×を付した場合の組合せを、下欄の1~4の選択肢から選び、その番号を解答欄に記入せよ。(5点)


(1) ア. 所有者のない不動産は、所有の意思をもって占有することによって、その所有権を取得する。

答え : ☓

→ 根拠法令は,民法239条2項。所有者のない不動産は,国庫に帰属します。所有者のいない不動産なんてまずありませんし,所有権を放棄したから国庫で引き取れといっても全く受け取ってくれませんけど。

(239条) 所有者のない動産は、所有の意思をもって占有することによって、その所有権を取得する。
2  所有者のない不動産は、国庫に帰属する。


イ. 債権は、金銭に見積もることができないものであっても、その目的とすることができる。

答え : ○

→ 根拠法令は,民法399条。踊ってくれとか,絵を書いてくれということでもOKですよね。

(399条) 債権は、金銭に見積もることができないものであっても、その目的とすることができる。


(2) ア. 抵当権は、債務者及び抵当権設定者に対しては、その担保する債権と同時でなければ、時効によって消滅しない。

答え : ○

→ 根拠法令は,民法396条。

(396条) 抵当権は、債務者及び抵当権設定者に対しては、その担保する債権と同時でなければ、時効によって消滅しない。


イ. 買戻しの期間は、十年を超えることができない。但し、特約でこれより長い期間を定めたときは、この限りではない。また、買戻しについて期間を定
めなかったときは、五年以内に買戻しをしなければならない。

答え : ☓

→ 根拠法令は,民法580条1項。

(580条)  買戻しの期間は、十年を超えることができない。特約でこれより長い期間を定めたときは、その期間は、十年とする。
2  買戻しについて期間を定めたときは、その後にこれを伸長することができない。
3  買戻しについて期間を定めなかったときは、五年以内に買戻しをしなければならない。


(3) ア. 贈与者は、贈与の目的である物又は権利の瑕疵又は不存在について、その責任を負わない。ただし、贈与者がその瑕疵又は不存在を知りながら受贈者に告げなかったときは、この限りでない。

答え : ○

→ 根拠法令は,民法551条1項。

(551条) 贈与者は、贈与の目的である物又は権利の瑕疵又は不存在について、その責任を負わない。ただし、贈与者がその瑕疵又は不存在を知りながら受贈者に告げなかったときは、この限りでない。
2  負担付贈与については、贈与者は、その負担の限度において、売主と同じく担保の責任を負う。


イ. 贈与は、当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずるが、書面によらない贈与は、各当事者が撤回することができる。

答え : ○

→ 根拠法令は,民法549条・550条。550条のただし書きまで考えると,☓な気もしますが・・・

(549条) 贈与は、当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる。
(550条) 書面によらない贈与は、各当事者が撤回することができる。ただし、履行の終わった部分については、この限りでない。


(4) ア. 相続回復の請求権は、相続人又はその法定代理人が相続権を侵害された事実を知った時から五年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から二十年を経過したときも、同様である。

答え : ○

→ 根拠法令は,民法848条。

(848条) 相続回復の請求権は、相続人又はその法定代理人が相続権を侵害された事実を知った時から五年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から二十年を経過したときも、同様とする。


イ. 船舶中に在る者は、証人二人以上の立会いをもって遺言書を作ることができる。

答え : ☓

→ 根拠法令は,民法978条。証人だけでなく,船長又は事務員1人の立会が必要です。

(978条) 船舶中に在る者は、船長又は事務員一人及び証人二人以上の立会いをもって遺言書を作ることができる。


(5) ア. 事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、その事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。

答え : ☓

→ 根拠法令は,民法715条1項ただし書き。事業の監督だけでなく,選任についても相当の注意が必要です。

(715条) ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。
2  使用者に代わって事業を監督する者も、前項の責任を負う。
3  前二項の規定は、使用者又は監督者から被用者に対する求償権の行使を妨げない。


イ. 不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないときは、時効によって消滅する。
不法行為の時から二十年を経過したときも、同様である。

答え : ○

→ 根拠法令は,民法724条。

(724条) 不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないときは、時効によって消滅する。不法行為の時から二十年を経過したときも、同様とする。


2.次の文章は民法の条文である。□に入る適切な語句又は数字を下欄の語群の中から選び、その記号を解答欄に記入せよ。(5点)
(1)債権は、[10]年間行使しないときは、消滅する。

→ 根拠法令は,民法167条1項。

(167条)  債権は、十年間行使しないときは、消滅する。
2  債権又は所有権以外の財産権は、二十年間行使しないときは、消滅する。


(2)[地上権]者は、他人の土地において工作物又は竹木を所有するため、その土地を使用する権利を有する。

→ 根拠法令は,民法265条。

(265条) 地上権者は、他人の土地において工作物又は竹木を所有するため、その土地を使用する権利を有する。


(3)不在者の生死が[7]年間明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求により、失踪の宣告をすることができる。

→ 根拠法令は,民法30条1項。

(30条) 不在者の生死が七年間明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求により、失踪の宣告をすることができる。
2  戦地に臨んだ者、沈没した船舶の中に在った者その他死亡の原因となるべき危難に遭遇した者の生死が、それぞれ、戦争が止んだ後、船舶が沈没した後又はその他の危難が去った後一年間明らかでないときも、前項と同様とする。


(4)時効は、当事者が[援用]しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない。

→ 根拠法令は,民法145条。

(145条) 時効は、当事者が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない。


(5)抵当権者は、債務者又は第三者が占有を移転しないで債務の担保に供した[不動産]について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。

→ 根拠法令は,民法369条1項。

(369条)抵当権者は、債務者又は第三者が占有を移転しないで債務の担保に供した不動産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
2  地上権及び永小作権も、抵当権の目的とすることができる。この場合においては、この章の規定を準用する。

以 上