A pirats aut latoronibus capta dominium non mutant.
海賊あるいは強盗によって奪われたものは、所有権をかえない
(柴田光蔵ほか『ラテン語法格言辞典』初版〈5〉)

 強奪された物(動産)の所有権に関する法格言です。
 日本の民法でも、占有権と所有権は分離されているので、強盗等に奪われたからといって、その物(動産)の所有権を失うということはありません(取引行為ではないので、即時取得(192条)もできない。)。
 また、盗品等の場合は、即時取得の要件を備えていたとしても所有権はもとの所有に残ると解されており(大判大正10年7月8日民録27輯1373頁)、盗難や遺失の時から2年以内であれば、その物を持っている人に対しても回復を請求することができます(193条)。