サイ太とケイ子はいつ消えた?
先日、修習生の方とお話をしていてショックを受けたことがありました。75期修習生は「サイ太」と「ケイ子」を知らないというのです。なんというジェネレーションギャップ。
念のため、当職が修習生のころに配布された『平成24年版 刑事裁判修習読本 ーこれからの刑事裁判を担う人たちへー』の11ページ(最初に出てくる「遠山の金さん」のくだり)を示して、類似する配付資料がないか尋ねてみたのですが、「ない」との回答でした。
会話の内容から修習生であろうと推察されるものの、唐突に登場して最後までどういう立ち位置なのかわからない「サイ太」と「ケイ子」は、いつのまにか引退してしまっていたようです。そこで、私なりの餞として、サイ太とケイ子がいつまで現役だったのかを調べてみました。
サイ太とケイ子がわかるのは69期まで
山中理司先生のサイト(https://yamanaka-bengoshi.jp/2019/04/29/shihoushuushuu-souhusiryou/)によると、送付教材等目録(第69期)の刑事裁判区分には、「15 平成24年版刑事裁判修習読本」の記載があります。
しかし、送付教材等目録(第70期~)になると、刑事裁判区分に刑事裁判修習読本の記載がなく、かわりに「刑事事実認定ガイド」や「プロシーディングス刑事裁判」といった記載が追加されています。
刑事裁判修習読本の内容は、第1編が事実認定、第2編が刑事手続等となっていましたので、同書が事実認定に特化した「刑事事実認定ガイド」と手続に特化した「プロシーディングス」に分割される際に「サイ太」と「ケイ子」の要素が抜け落ちてしまったようです。どっちかにだけでも残しておいてくれればよかったのに・・・
というわけで、貸与制世代中心に慣れ親しまれていた?「サイ太」と「ケイ子」は、69期(2015年~2016年)で引退しており、70期代以降の先生方には通じないネタのようです。
なお、在りし日の姿が見たい方はGoogle先生に聞いてみてください。もしかしたら見つけることができるかもしれません。
ここまでに判明した刑事裁判修習読本に関する年表
64期:2010年~2011年 ← ググった感じ、このころにはすでに刑裁修習読本があった模様
65期:2011年~2012年
66期:2012年~2013年 ← 平成24年版配布開始?
67期:2013年~2014年 ← 私はこの世代
68期:2014年~2015年
69期:2015年~2016年 ← サイ太とケイ子がわかる最後の世代
70期:2016年~2017年 ← ポスト「サイ太」「ケイ子」世代
71期:2017年~2018年
72期:2018年~2019年
73期:2019年~2020年
74期:2020年~2021年(※コロナの関係で3月スタート)
75期:2021年~2022年
余談 刑事弁護関係の書式も消えた
ちなみに、配布教材関係だと、刑事弁護で使用する書式がまとまっていた刑事弁護実務(別冊書式編)が、本体も含め74期以降配布されなくなったようです。しかも、74期の刑事弁護関係の教材は『刑事弁護の手引き』のみ、75期も『刑事弁護の手引き』と『みんなでつくるケース・セオリー』だけという圧倒的少なさになっていました。
たしかに刑事弁護実務本体はオーバースペックだった感がありますが、実務に出てからのことも考えると、書式くらいは配ってあげたほうがいいんじゃないですかね・・・今の修習生はどうやって刑事模擬裁判を回しているのでしょうか。
なお、書式が配布されなかったけど必要になった方は、以下のような書籍で補充してみてはいかがでしょうか。