1 はじめに

 サーバーがダウンしたとかいろいろ迷走している持続化給付金ですが,その証拠書類として要求されている確定申告書に受付印がない場合の対処法をまとめておきます。

2 基本的に2019年度の確定申告書に受付印が押されていないとダメ

 郵送で1通だけ送っている場合や,控えを持参していなかった場合など,手持ちの確定申告書(白色でも青色でも)に受付印が押されていない場合,持続化給付金の証拠書類としての要件を満たしません(以下のPDFいずれも15頁参照)。なので,受付印がなされていない確定申告書を提出しても審査ではじかれてしまいます。

個人 https://www.meti.go.jp/covid-19/pdf/kyufukin_kojin.pdf

法人 https://www.meti.go.jp/covid-19/pdf/kyufukin_chusho.pdf

3 個人なら納税証明書を取得する

 そこで,なんとかこの要件をクリアできるようにしたいところですが,まず,個人であれば,税務署で,提出する確定申告書類の年度(2019年度)の「納税証明書(その2 所得金額用)」(事業所得金額の記載のあるもの)を取得して,これとあわせて提出することでクリアできます。詳しくは個人用PDFの18Pを参照。

 なお,「納税証明書その2」については,所得が0であっても発行してもらえるようです。納税証明書については,以下のサイトを参照されてください。

https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/nozei-shomei/01.htm

4 法人なら税理士さんにお願いする

 また,法人であれば,代わりの書面として,①2事業年度前の確定申告書類の控え又は②税理士による押印及び署名がなされた,対象月の属する事業年度の直前の事業年度の確定申告で申告した又は申告予定の月次の事業収入を証明する書類(様式自由)を提出することが認められています(法人用23頁)。

 ②については,ちょっと分かりづらいところですが,
ア 前年同月比で売上が半減した月(対象月)の直前(一つ前)の事業年度の確定申告で申告した月次の売上を証明する書類
イ  前年同月比で売上が半減した月(対象月)の直前(一つ前)の事業年度の確定申告申告予定の月次の売上を証明する書類
のいずれかで,税理士による署名押印がなされたもの,ということです。

 要は,税理士さんに署名押印してもらった書類で去年の売上を証明できればOKということのようです。

 「去年の分の確定申告書類の控えには受付印が押されていないけど,一昨年の分の確定申告書類の控えには受付印が押されている」という事態はあまり生じなさそうですので,法人の場合は,税理士さんにお願いすることが多くなりそうです。ただ,そもそも税理士さんにお願いしているのであれば,受付印や受信通知がないということは少ないのでは・・・という感じもします。

5 それでもダメなら個人情報の開示請求

 上記の各方法で要件をクリアできない場合は,税務署に対し,「保有個人情報の開示請求」という手続を行い,保管されている確定申告書の写しを取得するという方法が考えられます。

 なお,受付印が必要とされているのは,確定申告書第一表ないし別表一の写しのみであり,所得税青色申告決算書や法人事業概況説明書については求められていません(いずれもPDF15頁参照)。というか,少なくとも個人事業主に関しては,基本的に申告する側から申し出ないと決算書等には受付印を押してもらえません。
 なので,開示請求にあたっては,とりあえず確定申告書第一表ないし別表一を請求すれば足り,まったく控えを取っていない等の理由がない限りは,所得税青色申告決算書や法人事業概況説明書 についてまで請求する必要はありません。

 私は,過去に一度だけ保有個人情報の開示請求をしたことがありますが,所得税青色申告決算書に絞って請求したためか1週間程度で開示がなされました。より手堅く行くために,決算書等までまとめて開示請求するというのはありなのですが,書類が増えると開示されるまでの時間が長くなりそうですので,その辺はお気をつけください。

 ちなみに,個人情報開示請求の具体的手続については,以下のマネーフォワードさんのページによくまとまっています。

 https://biz.moneyforward.com/blog/41286/

6 5月2日現在の状態について(R2.5.2追記)

 5月1日時点では,ログイン画面からログインできない等の問題があったようですが,5月2日9時ころ現在ではそれなりに解消されているようです。

7 申請方法とか(R2.5.2追記)

 申請にあたっては,証拠資料の画像をアップロードしたりする部分があるので,カメラ付きのスマートフォンやタブレット端末から申請するのが楽かもしれません。

補足 持続化「補助金」とは別物である(R2.5.2追記)

 持続化給付金は,何かの取り組みを行う際の費用の一部を出してもらえる「補助金」とは別の制度です。上記PDFのいずれも6頁に書いてあるとおり,持続化給付金の給付要件には,投資を伴う取組をすることは含まれていません。したがって,先にお金を出す(投資を伴う取り組みを行う)必要はありません。

 なお,令和2年度補正予算小規模事業者持続化補助金(コロナ特別対応型)については,以下のサイト等を参照してください。

  http://www.shokokai.or.jp/jizokuka_t/?_fsi=n7EOOHAa

補足2 そもそも確定申告していない個人の場合(R2.5.2)

 この場合については,個人用PDFの26頁に記載があります。

ア 2019年分の確定申告の義務がない場合等
 2019年分の市町村民税・特別区民税・都道府県民税の申告書類の控えを代わりの書面にすることができます(※受付印がないものについては,確定申告書と同様に納税証明書その2をとりつける必要があります。)
 ただし,この場合は,上記書面記載の収入金額から月平均額を割り出し,2020年の対象月の売上が,割り出した月平均額との比較で50%以上減少している必要があります。

イ 2019年分の確定申告等が終わっていない場合
 2018年分の確定申告書類等の控え又は2018年分の住民税の申告書類の控えを代わりの書面にすることができます(※受付印がないものについては,納税証明書その2をとりつける必要があります。 )。
 ただし,この場合は,対象月の売上と,2018年分の内容を比較することになります。