平成29年海事代理士試験 船舶法の解説
注:執筆当時の法令に基づくものです。法改正の影響については各自ご確認ください。
1.次の文章は船舶法及び船舶法施行細則の条文である。□に入る適切な語句又は数字を解答欄に記入せよ。(12点)
(1) 左ノ船舶ヲ以テ日本船舶トス
一 日本ノ官庁又ハ公署ノ所有ニ属スル船舶
二 日本国民ノ所有ニ属スル船舶
三 日本ノ法令ニ依リ設立シタル[会社]ニシテ其代表者ノ全員及ビ業務ヲ執行スル役員ノ[3分の2以上]ガ日本国民ナルモノノ所有ニ属スル船舶
四 前号ニ掲ゲタル法人以外ノ法人ニシテ日本ノ法令ニ依リ設立シ其代表者ノ
[全員]ガ日本国民ナルモノノ所有ニ属スル船舶
→ 根拠法令は,法1条。条文そのまま。
(2) 日本船舶ノ所有者ハ[登記]ヲ為シタル後船籍港ヲ管轄スル管海官庁ニ備ヘタル船舶原簿ニ登録ヲ為スコトヲ要ス
→ 根拠法令は,法5条1項。条文そのまま。
(3) 登録シタル事項ニ変更ヲ生シタルトキハ船舶所有者ハ其事実ヲ知リタル日ヨリ[2週間]内ニ変更ノ登録ヲ為スコトヲ要ス
→ 根拠法令は,法10条。条文そのまま。
(4) 第四条乃至前条ノ規定ハ総トン数[20トン未満]ノ船舶及ヒ[端舟]其他櫓櫂ノミヲ以テ運転シ又ハ主トシテ櫓櫂ヲ以テ運転スル舟ニハ之ヲ適用セス
→ 根拠法令は,法20条。条文そのまま。
(5) 管海官庁ハ船舶ノ総トン数、登録又ハ[標示]ニ関シ必要アリト認ムルトキハ何時ニテモ当該官吏ヲシテ船舶ニ[臨検]セシムルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ当該官吏ハ其ノ身分ヲ証明スヘキ証票ヲ携帯スヘシ
→ 根拠法令は,法21条の2。条文そのまま。
(6) 管海官庁ハ前条ノ申請書ヲ受ケタルトキハ関係書類ヲ調査シ次ノ事項ヲ船舶原簿ニ登録ス
一 番号
二 信号符字
三 種類
四 船名
五 [船籍港]
六 船質
七 帆船ノ帆装
八 上甲板ノ下面ニ於テ船首材ノ前面ヨリ船尾材ノ後面ニ至ル長
九 船体最広部ニ於テフレームノ外面ヨリ外面ニ至ル幅
十 長ノ中央ニ於テキールノ上面ヨリ船側ニ於ケル上甲板ノ下面ニ至ル深
十一 [総トン数]
十二 機関ノ種類及数
十三 推進器ノ種類及数
十四 造船地
十五 造船者
十六 [進水の年月]
十七 所有者ノ氏名又ハ名称、住所及共有ナルトキハ各共有者ノ持分
→ 根拠法令は,施行細則17条の2。条文そのまま。
2.次の文章のうち、正しいものには○を、誤っているものには×を解答欄に記入せよ。(8点)
(1) 日本船舶は、船舶検査証書を受有していれば、船舶国籍証書または仮船舶国籍証書の交付を受けていなくとも測度を受ける場所まで航行することができる。
答え : ○
→ 根拠法令は,施行細則4条1号。原則は船舶国籍証書又は仮船舶国籍証書の交付が必要ですが,船舶検査証書を受けていれば,測度を受ける場所まで航行することができます。
(施行細則4条) 次ノ場合ニ於テハ船舶国籍証書又ハ仮船舶国籍証書ノ受有前ト雖モ船舶ヲ航行セシムルコトヲ得
一 総トン数ノ測度ヲ受ケントスル場合ニ於テ船舶安全法(昭和八年法律第十一号)第九条第一項ニ規定スル船舶検査証書ヲ受有シタル船舶、同条第二項ニ規定スル臨時航行許可証ヲ受有シタル船舶及船舶安全法施行規則(昭和三十八年運輸省令第四十一号)第二条第二項ニ規定スル船舶(同項第五号ノ船舶ヲ除ク)ヲ航行セシムルトキ
二 船舶安全法施行規則第十九条の二第三号ニ該当シタル場合ニ係ル臨時航行許可証ヲ受有シタル船舶ヲ航行セシムルトキ
三 船舶安全法施行規則第四十四条ノ規定ニ依ル試運転トシテ船舶ヲ航行セシムルトキ
(2) 検認の法定期間は、総トン数100トン以上の鋼船は4年、総トン数100トン未満の鋼船は2年、木船は1年である。
答え : ○
→ 根拠法令は,法5条の2第2項。条文そのまま。
(法5条の2) 日本船舶ノ所有者ハ国土交通大臣ノ定ムル期日マデニ船舶国籍証書ヲ其船舶ノ船籍港ヲ管轄スル管海官庁(其船舶ノ運航上ノ都合ニ因リ已ムコトヲ得ザル事由アルトキハ最寄ノ管海官庁)ニ提出シ其検認ヲ受クルコトヲ要ス
○2 前項ノ期日ハ船舶国籍証書ノ交付ヲ受ケタル日又ハ船舶国籍証書ニ付前回ノ検認ヲ受ケタル日ヨリ総トン数百トン以上ノ鋼製船舶ニ在リテハ四年ヲ総トン数百トン未満ノ鋼製船舶ニ在リテハ二年ヲ木製船舶ニ在リテハ一年ヲ経過シタル後タルコトヲ要ス
○3 船舶ガ外国ニ在ル場合其他已ムコトヲ得ザル事由ニ因リ第一項ノ規定ニ依リ国土交通大臣ノ定ムル期日マデニ船舶国籍証書ヲ提出スルコトヲ得ザル場合ニ於テ其期日マデニ其船舶ノ所有者ヨリ理由ヲ具シテ申請アリタルトキハ船籍港ヲ管轄スル管海官庁ハ提出期日ノ延期ヲ認ムルコトヲ得延期セラレタル期日マデニ提出スルコトヲ得ザル場合亦同ジ
○4 日本船舶ノ所有者ガ第一項ノ規定ニ依リ国土交通大臣ノ定ムル期日又ハ前項ノ規定ニ依リ延期セラレタル期日マデニ船舶国籍証書ヲ提出セザルトキハ船舶国籍証書ハ其効力ヲ失フ此場合ニ於テ船籍港ヲ管轄スル管海官庁ハ船舶原簿ニ付職権ヲ以テ抹消ノ登録ヲ為スコトヲ要ス
(3) 何人も、手数料を納付して総トン数計算書の謄本または抄本の交付を申請することができる。
答え : ○
→ 根拠法令は,施行細則16条の2第1項。条文そのまま。
(施行細則16条の2第1項) 何人ト雖モ手数料ヲ納付シテ総トン数計算書ノ謄本又ハ抄本ノ交付ヲ申請シ又総トン数計算書ノ閲覧ヲ請求スルコトヲ得
2 手数料ノ外送付ニ要スル費用ヲ納付シテ総トン数計算書ノ謄本又ハ抄本ノ送付ヲ請求スルコトヲ得
(4) 船舶所有者の住所に変更があった場合は、変更登記をした後、登記事項証明書を添付して、管海官庁に変更の登録を申請しなければならない。
答え : ○
→ 根拠法令は,施行細則25条2項。登記→登録の順番です。
(25条2項) 船舶所有者ノ変更アリタルトキハ新所有者ハ申請書ニ変更ニ係ル新旧事項ノ事実ナルコトヲ証スル登記事項証明書ヲ添附シテ変更ノ登録ヲ申請スヘシ
2 前項ノ規定ハ船舶所有者ノ氏名若クハ名称、住所又ハ共有者ノ持分ノ変更アリタル場合ニ之ヲ準用ス
(5) 船舶国籍証書の記載事項に変更があった場合は、変更の登録をしてから遅滞なく書換の申請をしなければならない。
答え : ☓
→ 根拠法令は,施行細則31条。登録後ではなく,登録と同時に書換えを申請しなければなりません。
(施行細則31条) 船舶国籍証書ニ記載シタル事項ノ変更ニ依リ該証書ノ書換ヲ申請セントスル者ハ変更ノ登録ノ申請ト同時ニ之ヲ為スヘシ
(6) 船舶の修繕により総トン数に変更を生じたと認められる場合は、船舶の所在地を管轄する管海官庁に改測の申請をしなければならない。
答え : ☓
→ 根拠法令は,法9条1項。所在地ではなく,船籍港を管轄する管海官庁です。
(法9条)船舶所有者カ其船舶ヲ修繕シタル場合ニ於テ其総トン数ニ変更ヲ生シタルモノト認ムルトキハ遅滞ナク船籍港ヲ管轄スル管海官庁ニ其船舶ノ総トン数ノ改測ヲ申請スルコトヲ要ス
2 第四条第二項及ヒ第三項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
(7) 独立行政法人国立高等専門学校機構が登録事項証明書の交付申請をする場合、管海官庁は手数料を徴収しない。
答え : ○
→ 根拠法令は,施行細則53条。条文そのまま。
(53条)本則ノ規定ニ依ル手数料ハ国並ニ国立研究開発法人水産研究・教育機構、独立行政法人海技教育機構及独立行政法人国立高等専門学校機構並ニ国立大学法人及大学共同利用機関法人ニ対シテハ之ヲ徴収セス
(8) 日本で船舶を取得した者が、取得地を管轄する管海官庁の区域内に船籍港を定めない場合は、仮船舶国籍証書の交付を受けることができる。
答え : ○
→ 根拠法令は,法15条。こちらも条文そのまま。
(15条)日本ニ於テ船舶ヲ取得シタル者カ其取得地ヲ管轄スル管海官庁ノ管轄区域内ニ船籍港ヲ定メサルトキハ其管海官庁ノ所在地ニ於テ仮船舶国籍証書ヲ請受クルコトヲ得
以 上