将棋や囲碁などの指し手(打ち手)を記録したものを棋譜といいます。

昔から将棋ウォーズというアプリをやっているのですが,このアプリ,観戦モードから他の人の棋譜を見れるんですよね(現在の状況だけでなく,最初からの指し手が見れる)。

そこで気になったのが,「棋譜って著作権とか生じるんだろうか」ということです。

 はじめに

棋譜に著作権性が認められるなら,同じような対局をすると著作権侵害になるのか?

また,権利者はだれになるのか?疑問は尽きません。というわけで調べてみました。

とりあえずegovちゃんの法令用語検索で検索してみるも,「棋譜」というワードでは該当なし。当然か。

条文上は?

そこで,次に条文にあたってみると・・・

(保護を受ける著作物)
第六条 著作物は、次の各号のいずれかに該当するものに限り、この法律による保護を受ける。
一 日本国民(わが国の法令に基づいて設立された法人及び国内に主たる事務所を有する法人を含む。以下同じ。)の著作物
二 最初に国内において発行された著作物(最初に国外において発行されたが、その発行の日から三十日以内に国内において発行されたものを含む。)
三 前二号に掲げるもののほか、条約によりわが国が保護の義務を負う著作物

(定義)

第2条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。

うーん,「現代将棋の思想」っていう本は発売されていましたが,棋譜は「思想や感情を創作的に表現したもの」と言えるのでしょうか・・・

(著作物の例示)
第10条 この法律にいう著作物を例示すると、おおむね次のとおりである。
一 小説、脚本、論文、講演その他の言語の著作物
二 音楽の著作物
三 舞踊又は無言劇の著作物
四 絵画、版画、彫刻その他の美術の著作物
五 建築の著作物
六 地図又は学術的な性質を有する図面、図表、模型その他の図形の著作物
七 映画の著作物
八 写真の著作物
九 プログラムの著作物
2 事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道は、前項第一号に掲げる著作物に該当しない。
3 第一項第九号に掲げる著作物に対するこの法律による保護は、その著作物を作成するために用いるプログラム言語、規約及び解法に及ばない。この場合において、これらの用語の意義は、次の各号に定めるところによる。
一 プログラム言語 プログラムを表現する手段としての文字その他の記号及びその体系をいう。
二 規約 特定のプログラムにおける前号のプログラム言語の用法についての特別の約束をいう。
三 解法 プログラムにおける電子計算機に対する指令の組合せの方法をいう。

棋譜は著作物の例示にも入っていませんし,2項の「事実の伝達にすぎない」っていうところも気になりますね。指し手(打ち手)という事実を記録したものですし。

条文だけ見てるとちょっと厳しそう・・・

判例上は?

というわけで,次は判例をチェックしてみます。

契約しているデータベース(うちはD-1)で「棋譜」を検索してみましたが,該当は3件のみ。

将棋の戦法についての裁判例(東京高裁平成12年3月39日)はありましたが,棋譜の著作権性を正面から争った裁判例は見当たりませんでした。

結論

棋譜の著作権性については,裁判例がないが,条文からすると著作権性が認められない可能性が高い?

ただし,棋譜につけられたコメントなどについては,思想を創作的に表現したものとして著作物となります。棋譜がグレーだからといって,コメントごとコピーすると著作権侵害となりますのでご注意を。