0 はじめに
前回は,SWOT分析について書きましたが,今回はその応用であるTOWS分析(クロスSWOT分析)に関する備忘録です。
1 TOWS分析(クロスSWOT分析)とは
TOWS分析(クロスSWOT分析)とは,ハインツ・ワイリックが提唱したSWOT分析の応用方法であり,読み方は「トウズ」分析です(三谷宏治 すべての働く人のための新しい経営学 ディスカバー・トウェンティワン 263頁参照)。
意外と書いてある書籍が少ないのですが,実務補習でもよく用いられる戦略オプションの検討方法です。
2 TOWS分析(クロスSWOT分析)の実施方法
TOWS分析(クロスSWOT分析)の実施方法はシンプルで,SWOT分析により導出された各要素をそれぞれかけあわせて戦略オプションを検討するというものです。その組み合わせ方によって,
・強みによって機会を最大限に活用する積極的攻勢策(SO戦略)
・強みで脅威を最小化する差別化策(ST戦略)
・弱みで機会を取りこぼさないようにする弱点強化策(WO戦略)
・弱みと脅威で最悪の事態となることを回避する防衛/撤退策(WT戦略)
というように分類されますが(なお,この分類名については,それぞれの書籍により若干のゆらぎがあります。),ポイントはそれぞれ全部組み合わせてみるということです。
3 TOWS分析(クロスSWOT分析)の限界
ただ,前掲新しい経営学264頁でも指摘されているとおり,TOWS分析(クロスSWOT分析)は,あくまで戦略オプションの検討のために用いるものであり,これを実施したからといって,自動的に最適な戦略が導かれるわけではないことに注意が必要です。
4 戦略オプション絞りこみのためのアイデア
TOWS分析(クロスSWOT分析)を実施し戦略オプションを洗い出した後の絞り込みについては特に定跡はないと思うのですが,以前検討したとおり,市場が縮小していると大変厳しい状況となりやすいため,①市場縮小に関連する戦略(WT・ST)は優先的に取り組む,②SO戦略については強みのVRIO分析を実施し,持続的な競争優位を獲得できそうなものから取り組む,③とくにWT戦略についてはリスクマップを作成し,特に重要なものから取り組むというのはいかがでしょうか。