平成29年海事代理士試験 商法の解説

1.次の文章は、商法の条文である。□に入る適切な語句を解答欄に記入せよ。(5点)


(1) 船舶ノ属具目録ニ記載シタル物ハ其【従物】ト推定ス
→ 根拠法令は,商法685条。
  主物・従物の関係については、民法を参照してください。

(2) 船舶ノ先取特権ハ【抵当権】ニ先チテ之ヲ行フコトヲ得
→ 根拠法令は,商法849条。
  船舶先取特権と抵当権との優先関係を定めた条文です。

(3)船長カ船舶及ヒ積荷ヲシテ共同ノ危険ヲ免レシムル為メ船舶又ハ積荷ニ付キ為シタル処分ニ因リテ生シタル損害及ヒ費用ハ之ヲ【共同海損】トス
→ 根拠法令は,商法788条1項。
  共同海損の定義規定です。おぼえるしかないか。

(4)船舶又ハ積荷ノ全部又ハ一部カ海難ニ遭遇セル場合ニ於テ義務ナクシテ之ヲ救助シタル者ハ其結果ニ対シテ相当ノ【救助料】ヲ請求スルコトヲ得
→ 根拠法令は,商法800条
  救助料請求の根拠条文です。

(5)船舶所有者ハ傭船者又ハ荷送人ニ対シ【発航】ノ当時船舶カ安全ニ航海ヲ為スニ堪フルコトヲ担保ス
→ 根拠法令は,商法738条
  ボロボロの船で航海してこいとは言わせないという条文です。

2.法令の規定を参照した次のア~オについて、正しい場合は○を、誤っ ている場合は×を、解答欄に記入せよ。(5点)

ア.海員がその職務を行うにあたり他人に損害を加えた場合、船長は監督を怠らなかったことを証明しなければ、損害賠償の責任を免れることができない。
                   答え:◯

→ 根拠法令は,商法706条。
  他人の保護の観点から、原則として船長も責任を負い、監督を怠らなかった
 ことが証明された場合にのみ責任を免れることができるようになっています。

第706条 海員カ其職務ヲ行フニ当タリ他人ニ損害ヲ加ヘタル場合ニ於テ船長ハ監督ヲ怠ラサリシコトヲ証明スルニ非サレハ損害賠償ノ責ヲ免ルルコトヲ得ス

イ.傭船契約において、運送品を船積みするに必要な準備が整ったときは、船舶所有者は遅滞なく、その旨を傭船者に通知する義務を負う。
                   答え:◯

→ 根拠法令は,商法741条1項。傭船契約=船舶の全部をもって運送契約の目と機とした場合と読めるかは微妙ですが・・・

第741条 船舶ノ全部ヲ以テ運送契約ノ目的ト為シタル場合ニ於テ運送品ヲ船積スルニ必要ナル準備カ整頓シタルトキハ船舶所有者ハ遅滞ナク傭船者ニ対シテ其通知ヲ発スルコトヲ要ス

ウ.旅客は、発航前に運送賃の全額を支払わなければ契約を解除することができない。
                   答え:☓

→ 根拠法令は,商法781条1項。発航前は半額です。発航後が全額。発航前後で迷惑のかかり方がちがいますよね。

第781条 発航前ニ於テハ旅客ハ運送賃ノ半額ヲ支払ヒテ契約ノ解除ヲ為スコトヲ得
 2 発航後ニ於テハ旅客ハ運送賃ノ全額ヲ支払フニ非サレハ契約ノ解除ヲ為スコトヲ得ス

エ.船舶所有権の移転は、その登記又は船舶国籍証書への記載を行うことにより、第三者に対抗できる。
                   答え:☓

→ 根拠法令は,商法687条。「または」ではなく,「かつ」(両方必要)です。

第687条 船舶所有権ノ移転ハ其登記ヲ為シ且船舶国籍証書ニ之ヲ記載スルニ非サレハ之ヲ以テ第三者ニ対抗スルコトヲ得ス

オ.船舶管理人の権限の範囲は、船舶の利用に関するいっさいの裁判上又は裁判外の行為に及び、その範囲には船舶の大修繕も含まれる。
                   答え:☓

→ 根拠法令は,商法700条。船舶管理人の権限の範囲については,除外事由があり,権限には船舶の大修繕は含まれていません。

第700条 船舶管理人ハ左ニ掲ケタル行為ヲ除ク外船舶共有者ニ代ハリテ船舶ノ利用ニ関スル一切ノ裁判上又ハ裁判外ノ行為ヲ為ス権限ヲ有ス
一 船舶ノ譲渡若クハ賃貸ヲ為シ又ハ之ヲ抵当ト為スコト
二 船舶ヲ保険ニ付スルコト
三 新ニ航海ヲ為スコト
四 船舶ノ大修繕ヲ為スコト
五 借財ヲ為スコト

所感

 海商法は,10点しか配点がありませんが,商法の「第三編 海商」約165条くらいの学習でなんとかなる科目なので,民法なんかに比べると時間対効果がいい方の科目です。できたら何点か余裕を作りたいところですね。

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