正式名称
不当景品類及び不当表示防止法
商品及び役務の取引に関連する不当な景品類及び表示による顧客の誘引を防止するため、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある行為の制限及び禁止について定めることにより、一般消費者の利益を保護することを目的とする(同法1条)。
規制内容
目次
第1章 総則(1~3条)
第2章 景品類及び表示に関する規制(4条~29条)
第3章 適格消費者団体の差止請求権等(30条)
第4章 協定又は規約(31~32条)
第5章 雑則(33~35条)
第6章 罰則(36~41条)
(定義)
「事業者」とは、商業、工業、金融業その他の事業を行う者をいい、当該事業を行う者の利益のためにする行為を行う役員、従業員、代理人その他の者は、次項及び第31条の規定の適用については、これを当該事業者とみなす(2条1項)。
→ 経済活動を行う者は広く事業者に含まれる。
この法律で「景品類」とは、顧客を誘引するための手段として、その方法が直接的であるか間接的であるかを問わず、くじの方法によるかどうかを問わず、事業者が自己の供給する商品又は役務の取引(不動産に関する取引を含む。以下同じ。)に付随して相手方に提供する物品、金銭その他の経済上の利益であつて、内閣総理大臣が指定するものをいう(2条3項)。
この法律で「表示」とは、顧客を誘引するための手段として、事業者が自己の供給する商品又は役務の内容又は取引条件その他これらの取引に関する事項について行う広告その他の表示であつて、内閣総理大臣が指定するものをいう(2条4項)。
→ 非常に広範な定義である。
(景品類の制限及び禁止)
第4条 内閣総理大臣は、不当な顧客の誘引を防止し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を確保するため必要があると認めるときは、景品類の価額の最高額若しくは総額、種類若しくは提供の方法その他景品類の提供に関する事項を制限し、又は景品類の提供を禁止することができる。
(景品類の制限及び禁止並びに不当な表示の禁止に係る指定に関する公聴会等及び告示)
第6条 内閣総理大臣は、第四条の規定による制限若しくは禁止若しくは前条第三号の規定による指定をし、又はこれらの変更若しくは廃止をしようとするときは、内閣府令で定めるところにより、公聴会を開き、関係事業者及び一般の意見を求めるとともに、消費者委員会の意見を聴かなければならない。
2 前項に規定する制限及び禁止並びに指定並びにこれらの変更及び廃止は、告示によつて行うものとする。
→ 「不当景品類及び不当表示防止法第2条の規定により景品類及び表示を指定する件」や「景品類等の指定の告示の運用基準について」により具体化されている。
告示:https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/public_notice/
運用基準:https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/guideline/
(不当な表示の禁止)
第5条 事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について、次の各号のいずれかに該当する表示をしてはならない。
1 商品又は役務の品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示し、又は事実に相違して当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも著しく優良であると示す表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの → 優良誤認
2 商品又は役務の価格その他の取引条件について、実際のもの又は当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの → 有利誤認
3 前二号に掲げるもののほか、商品又は役務の取引に関する事項について一般消費者に誤認されるおそれがある表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認めて内閣総理大臣が指定するもの → 不当表示
(事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置)
第26条 事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について、景品類の提供又は表示により不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害することのないよう、景品類の価額の最高額、総額その他の景品類の提供に関する事項及び商品又は役務の品質、規格その他の内容に係る表示に関する事項を適正に管理するために必要な体制の整備その他の必要な措置を講じなければならない。
2 内閣総理大臣は、前項の規定に基づき事業者が講ずべき措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針(以下この条において単に「指針」という。)を定めるものとする。
→ 事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針が定められている。
指針:https://www.caa.go.jp/notice/entry/029287/
→ 正当な理由がないにもかかわらず、事業者が上記措置を講じていないときは、勧告や公表がなされることがある(28条)
規制に違反した場合の効果
景品規制(4条)・表示規制(5条) → 措置命令(7条)
表示規制のうち優良誤認・有利誤認 → 課徴金納付命令(8条)・適格消費者団体による差止(30条)
※1 課徴金の額は課徴金対象期間の売上額の3%(8条1項)
※2 措置命令違反は罰則あり(36条)
その他
課徴金納付命令の例外(8条1項ただし書き)
①事業者が課徴金対象行為をした期間を通じて優良誤認表示・有利誤認表示に該当することを知らず、かつ、知らないことにつき相当の注意を怠った者でないと認められるとき
②減額前の課徴金の額が百五十万円未満(課徴金対象行為に係る商品又は役務の売上額が 5000 万円未満)であるときは、その納付を命ずることができない(8条1項ただし書き)。
課徴金の減額制度
課徴金については、事実の報告(9条)及び返金措置(10条・11条)による減額がありうる。
優良誤認該当性に関する根拠資料の必要性(7条2項・8条3項)
内閣総理大臣は、措置命令や課徴金納付命令に関し、事業者がした表示が優良誤認に該当するか否かを判断するため必要があると認めるときは、当該表示をした事業者に対し、期間を定めて、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができる。
資料の提出が求められたにもかかわらず、事業者が当該資料を提出しないときは、措置命令については優良誤認に該当する表示とみなされ、課徴金納付命令については優良誤認に該当する表示と推定される。
※なお、提出期間は文書を交付した日から15日を経過する日までの期間である(不当景品類及び不当表示防止法施行規則7条2項)。
調査
内閣総理大臣は、措置命令、課徴金納付命令又は管理上必要な措置を講ずべき旨の勧告を行うため必要があると認めるときは、立ち入り検査等の調査をさせることができる(29条1項参照)。