平成29年海事代理士試験 船員法の解説
注:執筆当時の法令に基づくものです。法改正の影響については各自ご確認ください。
1.法令の規定を参照した次の文章中の に入る適切な語句を下欄の語群の中から選び、その記号を解答欄に記入せよ。なお、1つの語句につき選択出来るのは2回までとする。(10点)
(1) 法第14条の3第2項において国土交通省令の定める船舶の船長は、国土交通省令の定めるところにより、海員及び旅客について、[防火訓練] 、[救命艇操練]その他非常の場合のために必要な操練を実施しなければならないと定められている。
→ 根拠法令は,法14条の3第2項。
(2) 常時10人以上の船員を使用する船舶所有者は、食料並びに安全及び衛生、被服及び日用品、陸上における宿泊、休養、医療及び慰安の施設、災害補償、失業手当、雇止手当及び[退職手当]、送還、教育、賞罰、その他の労働条件の事項について[就業規則]を作成したときは、これを国土交通大臣に届け出なければならない。これを変更したときも同様とする。
→ 根拠法令は,法97条1項・2項
(97条) 常時十人以上の船員を使用する船舶所有者は、国土交通省令の定めるところにより、次の事項について就業規則を作成し、これを国土交通大臣に届け出なければならない。これを変更したときも同様とする。
一 給料その他の報酬
二 労働時間
三 休日及び休暇
四 定員
2 前項の船舶所有者は、次の事項について就業規則を作成したときは、これを国土交通大臣に届け出なければならない。これを変更したときも同様とする。
一 食料並びに安全及び衛生
二 被服及び日用品
三 陸上における宿泊、休養、医療及び慰安の施設
四 災害補償
五 失業手当、雇止手当及び退職手当
六 送還
七 教育
八 賞罰
九 その他の労働条件
(3) 船舶所有者は、[国土交通大臣]の指定する医師が船内労働に適することを証明した [健康証明書]を持たない者を船舶に乗り組ませてはならない。
→ 根拠法令は,法83条。
(4) 船舶所有者は、予備船員を解雇しようとする場合においては、少なくとも [三十]日前にその予告をしなければならない。[三十]日前に予告をしない船舶所有者は、[一]箇月分の給料の額と同等の予告手当を支払わなければならない。
→ 根拠法令は,法44条の3第1項本文。陸の労働者の解雇と同じ基準ですね。
(5) 船舶所有者は、年齢18年未満の船員を午後[8]時から翌日の午前[5]時までの間において作業に従事させてはならない。ただし、国土交通省令の定める場合において午前零時から午前[5]時までの間を含む連続した9時間の休息をさせるときは、この限りでない。
→ 根拠法令は,法86条1項。意外と早い午後8時。
2.法令の規定を参照した次の文章のうち、正しいものには○を、誤っているものには×を解答欄に記入せよ。(6点)
(1) 相続その他の包括承継の場合を除いて、船舶所有者の変更があったときは、雇入契約は、終了する。
答え : ○
→ 根拠法令は,法43条1項
(43条1項)相続その他の包括承継の場合を除いて、船舶所有者の変更があつたときは、雇入契約は、終了する。
(2) 船員の1日当たりの労働時間は7時間以内、1週間当たりの労働時間は、基準労働期間については平均35時間以内とする。
答え : ☓
→ 根拠法令は,法60条1項・2項。8時間と40時間です。
(60条)船員の一日当たりの労働時間は、八時間以内とする。
2 船員の一週間当たりの労働時間は、基準労働期間について平均四十時間以内とする。
(3) 有給休暇を与うべき時期及び場所については、船長と船員との協議による。
答え : ☓
→ 根拠法令は,法77条1項。なんとなく船長っぽいですが,船舶所有者との協議によります。
(77条)有給休暇を与うべき時期及び場所については、船舶所有者と船員との協議による。
(4) 船舶所有者は、船員の乗船中、これに食料を支給しなければならない。
答え : ○
→ 根拠法令は,法80条1項
(80条)船舶所有者は、船員の乗船中、これに食料を支給しなければならない。
(5) 船員が職務上死亡したときは、船舶所有者は、遅滞なく、国土交通省令の定める遺族に標準報酬の月額の24箇月分に相当する額の遺族手当を支払わなければならない。船員が職務上の負傷又は疾病に因り死亡したときも同様とする。
答え : ☓
→ 根拠法令は,法93条。2年分(24ヶ月分)ではなく,3年分(36ヶ月分)です。
(93条)船員が職務上死亡したときは、船舶所有者は、遅滞なく、国土交通省令の定める遺族に標準報酬の月額の三十六箇月分に相当する額の遺族手当を支払わなければならない。船員が職務上の負傷又は疾病に因り死亡したときも同様とする。
(6) 就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める雇入契約は、その部分については、無効とする。この場合には、雇入契約は、その無効部分については、就業規則で定める基準に達する労働条件を定めたものとみなす。
答え : ○
→ 根拠法令は,法100条。
(100条)就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める雇入契約は、その部分については、無効とする。この場合には、雇入契約は、その無効の部分については、就業規則で定める基準に達する労働条件を定めたものとみなす。
3.船員法第111条の規定に基づく報告事項において、船舶所有者が国土交通大臣に報告しなければならない事項を2つ答えよ。(その他国土交通省の定める事項を除く。)(2点)
答え : 使用船員の数・給料その他の報酬の支払状況・災害補償の実施状況・その他国土交通省令の定める事項のうち,いずれか2つ
(111条) 船舶所有者は、国土交通省令の定めるところにより、左の事項について、国土交通大臣に報告をしなければならない。
一 使用船員の数
二 給料その他の報酬の支払状況
三 災害補償の実施状況
四 その他国土交通省令の定める事項
4.船員法第18条第1項の規定に基づき、船長は、国土交通省令の定める場合を除いて、船舶国籍証書又は国土交通省令の定める証書、積荷に関する書類及び海上運送法第26条第3項に規定する証明書の他にどのような書類を船内に備え置かなければならないか2つ答えよ。(2点)
答え : 海員名簿・航海日誌・旅客名簿のうち2つ。
→ 根拠法令は,船員法18条1項。
(船員法18条) 船長は、国土交通省令の定める場合を除いて、次の書類を船内に備え置かなければならない。
一 船舶国籍証書又は国土交通省令の定める証書
二 海員名簿
三 航海日誌
四 旅客名簿
五 積荷に関する書類
六 海上運送法(昭和二十四年法律第百八十七号)第二十六条第三項に規定
する証明書
以 上