平成26年 海事代理士試験 港湾運送事業法の解説
注:執筆当時の法令に基づくものです。法改正の影響については各自ご確認ください。
1.次の①及び②の法令の規定を参照した文章の正誤について、正しい組み合わせを選択肢ア~エから選び、解答欄に記入せよ。(5点)
(1)① 港湾運送事業法において、一般港湾運送事業者は、その責に帰すべ
からざる事由により貨物の引渡をすることができないときは、供託ある
いは競売の手続により、これを倉庫営業者に寄託することができると明
記されている。
答え : ☓
→ 根拠法令は、法13条1項。荷受人の費用をもって寄託できます。
(13条1項) 一般港湾運送事業者は、その責に帰すべからざる事由により貨物の引渡をすることができないときは、荷受人の費用をもつてこれを倉庫営業者に寄託することができる。
② 港湾運送事業法において、一般港湾運送事業者は、その責に帰すべ
からざる事由により貨物の引渡をすることができないときは、一般港湾
運送事業者が費用を負担することにより、これを倉庫営業者に寄託する
ことができると明記されている。
答え : ☓
→ 根拠法令は、法13条1項。荷受人の費用をもって寄託できます。
(法文省略)
(2)① 港湾運送事業者は、国土交通省令で定める軽微な事項に係る事業計
画を変更しようとするときは、事前に、その旨を国土交通大臣に届け出な
ければならない。
答え : ☓
→ 根拠法令は、法17条3項・1項。原則は事前に認可ですが、軽微な事項の場合は、事後の届出でOKです。
(17条) 港湾運送事業者は、事業計画を変更しようとするときは、国土交通大臣の認可を受けなければならない。但し、国土交通省令で定める軽微な事項に係る変更については、この限りでない。
2 第六条の規定は、前項の認可について準用する。
3 港湾運送事業者は、第一項但書の事項について事業計画を変更したときは、遅滞なく、その旨を国土交通大臣に届け出なければならない。
② 国土交通大臣は、港湾運送事業者の事業について利用者の利便その
他公共の利益を阻害している事実があると認めるときは、当該港湾運送
事業者に対し、事業計画の変更その他の事業の運営を改善するために必
要な措置をとるべきことを命ずることができる。
答え : ○
→ 根拠法令は、法21条。
(21条) 国土交通大臣は、港湾運送事業者の事業について利用者の利便その他公共の利益を阻害している事実があると認めるときは、当該港湾運送事業者に対し、事業計画の変更その他の事業の運営を改善するために必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
(3)① 港湾運送事業者は、国土交通省令で定めるところにより、運賃及び
料金を定め、あらかじめ、国土交通大臣の認可を受けなければならな
い。これを変更しようとするときも、同様とする。
答え : ☓
→ 根拠法令は、法9条1項。認可ではなく、届出です。
(9条) 港湾運送事業の許可を受けた者(以下「港湾運送事業者」という。)は、国土交通省令で定めるところにより、運賃及び料金を定め、あらかじめ、国土交通大臣に届け出なければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
② 国土交通大臣は、港湾運送事業者が定めた運賃又は料金が、他の港
湾運送事業者との間に不当な競争を引き起こすこととなるおそれがある
ものであるとき、期限を定めてその運賃又は料金を変更すべきことを命
ずることができる。
答え : ○
→ 根拠法令は、法9条2項2号。
(9条2項)国土交通大臣は、前項の運賃又は料金が次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、当該港湾運送事業者に対し、期限を定めてその運賃又は料金を変更すべきことを命ずることができる。
一 特定の利用者に対し不当な差別的取扱いをするものであるとき。
二 他の港湾運送事業者との間に不当な競争を引き起こすこととなるおそれがあるものであるとき。
(4)① 検数事業、鑑定事業又は検量事業を営もうとする者は、港湾運送事
業の種類及び港湾ごとに国土交通大臣の許可を受けなければならない。
答え : ☓
→ 根拠法令は、法4条及び3条5号~7号。港湾毎に許可をうける必要があるのは、一般港湾運送事業・港湾荷役事業・はしけ運送事業・いかだ運送事業の4種類だけです。
(4条) 前条第一号から第四号までに掲げる港湾運送事業(以下「一般港湾運送事業等」という。)を営もうとする者は、港湾運送事業の種類及び港湾ごとに、同条第五号から第七号までに掲げる港湾運送事業(以下「検数事業等」という。)を営もうとする者は、港湾運送事業の種類ごとに国土交通大臣の許可を受けなければならない。この場合において、一般港湾運送事業、はしけ運送事業又はいかだ運送事業の許可を受けた者は、当該許可に係る港湾を起点又は終点とする指定区間においても、当該許可に係る一般港湾運送事業等を営むことができる。
(3条) 港湾運送事業の種類は、次に掲げるものとする。
一 一般港湾運送事業(前条第一項第一号に掲げる行為を行う事業)
二 港湾荷役事業(前条第一項第二号及び第四号に掲げる行為を行う事業)
三 はしけ運送事業(前条第一項第三号に掲げる行為を行う事業)
四 いかだ運送事業(前条第一項第五号に掲げる行為を行う事業)
五 検数事業(前条第一項第六号に掲げる行為を行う事業)
六 鑑定事業(前条第一項第七号に掲げる行為を行う事業)
七 検量事業(前条第一項第八号に掲げる行為を行う事業)
② 国土交通大臣は、港湾運送事業者が正当な理由がないのに認可を受
けた事項を実施しないときは、当該港湾運送事業の許可を取り消すこと
ができる。
答え : ○
→ 根拠法令は、法22条2号。
(22条) 国土交通大臣は、港湾運送事業者が次の各号のいずれかに該当するときは、三月以内において期間を定めて当該事業の停止を命じ、又は当該港湾運送事業の許可を取り消すことができる。
一 この法律又はこれに基づく処分に違反したとき。
二 正当な理由がないのに認可を受けた事項を実施しないとき。
三 第六条第二項第一号、第二号、第四号又は第五号の規定に該当するに至つたとき。
(5)① 港湾運送事業法の目的は、港湾運送に関する秩序を確立し、港湾運
送事業の健全な発達を図り、もって公共の福祉を増進することである。
答え : ○
→ 根拠法令は、法1条。
(1条) この法律は、港湾運送に関する秩序を確立し、港湾運送事業の健全な発達を図り、もつて公共の福祉を増進することを目的とする。
② 港湾運送事業法において、港湾運送関連事業とは、営利を目的と
し、他人の需要に応じて港湾においてする船積貨物の警備等を行う事業
をいう。
答え : ☓
→ 根拠法令は、法2条3項。営利目的の有無は問いません。
(2条3項)この法律で「港湾運送関連事業」とは、営利を目的とするとしないとを問わず、他人の需要に応じて次に掲げる行為を行なう事業をいう。
2.次の文章は、港湾運送事業法に関する文章である。 に入る適切な法令上の語句を解答欄に記入せよ。(5点)
(1)国土交通大臣は、港湾運送事業の許可をしようとするときは、検数事業等にあっては、検数事業等の[公正]かつ適正な実施を確保するため必要な体制が整備されているかどうか等を審査して、許可をしなければならない。
→ 根拠法令は、法6条1項。
(6条1項) 国土交通大臣は、港湾運送事業の許可をしようとするときは、次の基準に適合するかどうかを審査して、これをしなければならない。
一 一般港湾運送事業等にあつては、少なくとも、港湾運送事業の種類及び
港湾ごとに国土交通省令で定める施設及び労働者を有するものであること。
二 検数事業等にあつては、検数事業等の公正かつ適正な実施を確保するた
め必要な体制が整備されていること。
三 当該事業の遂行上適切な計画を有するものであること。
四 当該事業を営む者の責任の範囲が明確であるような経営形態であるこ
と。
五 当該事業の経理的基礎が確実性を有すること。
(2)一般港湾運送事業者は、国土交通省令で定めるところにより、港湾運送約款を定め、国土交通大臣の[認可]を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
→ 根拠法令は、法11条1項。
(11条) 一般港湾運送事業の許可を受けた者(以下「一般港湾運送事業者」という。)は、国土交通省令で定めるところにより、港湾運送約款を定め、国土交通大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
(3)港湾運送事業の譲渡及び譲受は、国土交通大臣の[認可]を受けなければ、その効力を生じない。
→ 根拠法令は、法18条1項。
(18条) 港湾運送事業の譲渡及び譲受は、国土交通大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
(4)一般港湾運送事業とは、港湾運送事業法第二条第一項第一号に掲げる行為(荷主又は船舶運航事業者の委託を受け、船舶により運送された貨物の港湾における船舶からの[受取]若しくは荷主への[引渡]又は船舶により運送されるべき貨物の港湾における船舶への[引渡]若しくは荷主からの[受取]にあわせてこれらの行為に先行し又は後続する次号から第五号までに掲げる行為を一貫して行う行為)を行う事業をいう。
→ 根拠法令は、法3条1号及び2条1項1号。
(3条) 港湾運送事業の種類は、次に掲げるものとする。
一 一般港湾運送事業(前条第一項第一号に掲げる行為を行う事業)
(2条1項1号) この法律で「港湾運送」とは、他人の需要に応じて行う行為であつて次に掲げるものをいう。
一 荷主又は船舶運航事業者の委託を受け、船舶により運送された貨物の港湾における船舶からの受取若しくは荷主への引渡又は船舶により運送されるべき貨物の港湾における船舶への引渡若しくは荷主からの受取にあわせてこれらの行為に先行し又は後続する次号から第五号までに掲げる行為を一貫して行う行為
以上