平成27年海事代理士試験 港湾運送事業法の解説
注:執筆当時の法令に基づくものです。法改正の影響については各自ご確認ください。
1.次の①及び②の法令の規定を参照した文章の正誤について、正しい組合せをア~エの選択肢から選び、解答欄に記入せよ。(5点)
(1)① 港湾若しくは指定区間におけるいかだに組んでする木材の運送を他人の需要に応じて行う場合は、港湾運送事業法上の「港湾運送」に該当する。
答え : ○
→ 根拠法令は、法2条1項5号。
(定義)
第二条 この法律で「港湾運送」とは、他人の需要に応じて行う行為であつて次に掲げるものをいう。
五 港湾若しくは指定区間におけるいかだに組んでする木材の運送又は港湾においてする、いかだに組んで運送された木材若しくは船舶若しくははしけにより運送された木材の水面貯木場への搬入、いかだに組んで運送されるべき木材若しくは船舶若しくははしけにより運送されるべき木材の水面貯木場からの搬出若しくはこれらの木材の水面貯木場における荷さばき若しくは保管
② 港湾運送事業者は、原則その名義を他人に港湾運送事業のため利用させてはならないが、発行済株式の総数の二分の一を超える株式を保有することによりその事業活動を支配するものにおいてはその限りではない。
答え : ☓
→ 根拠法令は、法14条。例外規定がありません。
(14条) 港湾運送事業者は、その名義を他人に港湾運送事業のため利用させてはならない。
(2)① 港湾運送事業財団は、その所有者が一般港湾運送事業者等でない者になったことにより消滅する。
答え : ☓
→ 根拠法令は、法28条。
(財団の存続)
第二十八条 港湾運送事業財団は、その所有者が一般港湾運送事業者等でない者になつたことにより消滅することがない。
② 港湾運送事業の許可を取り消され、その取消しの日から十年を経過しない者は、港湾運送事業の許可を受けることができない。
答え : ☓
→ 根拠法令は、法6条2項3号。10年ではなく、5年です。
(6条2項) 国土交通大臣は、前項の規定により審査した結果、その申請が同項の基準に適合していると認めたときは、申請者が次の各号のいずれかに該当する場合を除いて、港湾運送事業の許可をしなければならない。
三 港湾運送事業の許可を取り消され、その取消しの日から五年を経過しない者(当該許可を取り消された者が法人である場合においては、当該取消しを受けた法人のその処分を受ける原因となつた事項が発生した当時現にその法人の業務を執行する役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権又は支配力を有する者を含む。以下同じ。)として在任した者で当該取消しの日から五年を経過しないものを含む。)
(3)① 港湾荷役事業には、貨物の船舶もしくははしけからの取卸し又は船舶もしくははしけへの積込む行為の他、荷捌き場における荷捌き又は保管する行為も含まれる。
答え : ○
→根拠法令は、法3条2号及び2条1項2号・4号。
(法3条2号) 港湾運送事業の種類は、次に掲げるものとする。
二 港湾荷役事業(前条第一項第二号及び第四号に掲げる行為を行う事業)
(法2条1項)この法律で「港湾運送」とは、他人の需要に応じて行う行為であつて次に掲げるものをいう。
二 港湾においてする船舶への貨物の積込又は船舶からの貨物の取卸(第四号に掲げる行為を除く。)
四 港湾においてする、船舶若しくははしけにより運送された貨物の上屋その他の荷さばき場(水面貯木場を除く。以下単に「荷さばき場」という。)への搬入、船舶若しくははしけにより運送されるべき貨物の荷さばき場からの搬出、これらの貨物の荷さばき場における荷さばき若しくは保管又は貨物の船舶(国土交通省令で定める総トン数未満のものに限る。以下この号において同じ。)若しくははしけからの取卸し若しくは船舶若しくははしけへの積込み(貨物の船舶からの取卸し又は船舶への積込みにあつては、当該船舶が岸壁、さん橋又は物揚場に係留され、かつ、当該船舶の揚貨装置を使用しないで行なう場合に限る。)
② 港湾運送事業者は、事業計画を変更しようとするときは、すべからく国土交通大臣の認可を受けなければならない。
答え : ☓
→根拠法令は、法17条1項。軽微な事項に係る変更は認可不要です。
(17条1項) 港湾運送事業者は、事業計画を変更しようとするときは、国土交通大臣の認可を受けなければならない。但し、国土交通省令で定める軽微な事項に係る変更については、この限りでない。
(4)① 港湾荷役事業等の許可を受けた者は、他の港湾運送事業者から引き受けた港湾運送については、その全部を自ら、又は当該港湾荷役事業者等と密接な関係を有する者が行わなければならない。
答え : ☓
→根拠法令は、法16条4項。
(16条4項) 港湾荷役事業等の許可を受けた者は、他の港湾運送事業者から引き受けた港湾運送については、その全部を自ら行わなければならない。
② 港湾運送事業者が死亡した場合、相続人が被相続人の行っていた港湾運送事業を引き続き営もうとするときは、あらかじめ国土交通大臣に届け出なければならない。
答え : ☓
→根拠法令は、法18条4項。届出ではなく、認可が必要です。
(18条4項) 港湾運送事業者が死亡した場合において、相続人が被相続人の行つていた港湾運送事業を引き続き営もうとするときは、国土交通大臣の認可を受けなければならない。
(5)① 国土交通大臣がする港湾運送事業法に基づく許可又は認可には、条件又は期限を付すことができ、それらの変更もすることができる。
答え : ○
→根拠法令は、法29条1項。
(29条1項) 許可又は認可には、条件又は期限を付し、及びこれを変更することができる。
② 営利を目的としない港湾運送を行う事業は港湾運送事業には含まれない。
答え : ☓
→ 根拠法令は、法2条2項。
(法2条2項) この法律で「港湾運送事業」とは、営利を目的とするとしないとを問わず港湾運送を行う事業をいう。
2.次の文章は、港湾運送事業法に関する文章である。(1)~(4)については、に入る適切な法令上の語句を、(5)については、語句の組合せを下欄の語群の中から選び、その番号を解答欄に記入せよ。(5点)
(1)一般港湾運送事業の許可を受けた者は、国土交通省令で定めるところにより、港湾運送約款を定め、国土交通大臣の[認可]を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
→根拠法令は、法11条1項。
(11条1項) 一般港湾運送事業の許可を受けた者(以下「一般港湾運送事業者」という。)は、国土交通省令で定めるところにより、港湾運送約款を定め、国土交通大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
(2)港湾運送事業者は、国土交通大臣に届け出た運賃及び料金並びに[認可]を受けた港湾運送約款を[営業所]において利用者の見やすいように掲示しなければならない。
→根拠法令は、法12条。
(運賃及び料金並びに港湾運送約款の掲示)
第十二条 港湾運送事業者は、第九条第一項の規定により届け出た運賃及び料金(特定の荷主又は船舶運航事業者に限つて定められたものを除く。)並びに前条第一項の規定により認可を受けた港湾運送約款を営業所において利用者の見やすいように掲示しなければならない。
(3)一般港湾運送事業者は、その責に帰すべからざる事由により貨物の引渡をすることができないときは、[荷受人]の費用をもつてこれを倉庫営業者に寄託することができる。
→根拠法令は、法13条1項。
(13条1項) 一般港湾運送事業者は、その責に帰すべからざる事由により貨物の引渡をすることができないときは、荷受人の費用をもつてこれを倉庫営業者に寄託することができる。
(4)港湾運送事業者が、その事業を休止又は廃止しようとするときは、国土交通省令で定める手続により、休止又は廃止の日の[30日]前までに、国土交通大臣にその旨を届け出なければならない。
→根拠法令は、法20条。
(20条) 港湾運送事業者は、その事業を休止し、又は廃止しようとするときは、国土交通省令で定める手続により、休止又は廃止の日の三十日前までに、国土交通大臣にその旨を届け出なければならない。
(5)港湾運送事業財団を組成する要素として法律上、起こりうる組合せは [荷捌き施設、事務所、地役権]である。
→根拠法令は、法24条。
(24条) 港湾運送事業財団は、次に掲げるものであつて、同一の一般港湾運送事業者等に属し、かつ、一般港湾運送事業等に関するものの全部又は一部をもつて組成することができる。
一 上屋、荷役機械その他の荷さばき施設及びその敷地
二 はしけ及び引船その他の船舶
三 事務所その他一般港湾運送事業等のため必要な建物及びその敷地
四 第一号又は前号に掲げる工作物を所有し、又は使用するため他人の不動産の上に存する地上権、登記した賃借権及び第一号又は前号に掲げる土地のために存する地役権
五 一般港湾運送事業等の経営のため必要な器具及び機械
以 上