平成28年海事代理士試験 憲法の解説

1.次の文章は日本国憲法の条文である。【  】に入る適切な語句を解答欄に記入せよ。(5点)

(1) すべて国民は 、法の下に平等であつて、人種、【信条】、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

→ 根拠法令は,憲法14条1項。条文そのまま。

(14条1項) すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

(2) 何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び【職業選択】の自由を有する。

→ 根拠法令は,憲法22条1項。条文そのまま。

(22条1項)何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。

(3)衆議院が解散されたときは、解散の日から【40】日以内に、衆議院議員の総選挙を行ひ、その選挙の日から三十日以内に、国会を召集しなければならない。

→ 根拠法令は,憲法54条1項。条文そのまま。

(54条1項)  衆議院が解散されたときは、解散の日から四十日以内に、衆議院議員の総選挙を行ひ、その選挙の日から三十日以内に、国会を召集しなければならない。

(4)【私有財産】は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。

→ 根拠法令は,憲法29条3項。条文そのまま。

(29条3項)私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。

(5)予見し難い予算の不足に充てるため、国会の議決に基いて【予備費】を設け、内閣の責任でこれを支出することができる。

→ 根拠法令は,憲法87条1項。条文そのまま。

(87条1項)  予見し難い予算の不足に充てるため、国会の議決に基いて予備費を設け、内閣の責任でこれを支出することができる。

2.日本国憲法及び判例を参照した次の文章のうち、正しい場合は○を、誤っている場合は×を、解答欄に記入せよ。(5点)

(1)参議院が、衆議院の可決した法律案を受け取った後、国会休会中の期間を除いて六十日以内に議決しないときは、衆議院は、参議院がその法律案を否決したものとみなすことができる。

答え : ○

→ 根拠法令は,憲法59条4項。条文そのまんま。

(59条4項) 参議院が、衆議院の可決した法律案を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて六十日以内に、議決しないときは、衆議院は、参議院がその法律案を否決したものとみなすことができる。

(2)新聞紙に謝罪広告を掲載することを命ずる判決は、その広告の内容が単に事態の真相を告白し陳謝の意を表明する程度のものであっても、憲法第十九条に違反する。

答え : ☓

→ 根拠法令は,憲法19条及び判例(最判昭和31年7月4日)。この程度であれば,思想・良心の自由を侵害するものではないとされています。

(3)取材の自由については、公正な裁判の実現というような憲法上の要請があるときは、制約を受けることがある。

答え : ○

→ 根拠法令は,憲法21条及び判例(最大決昭和33年2月17日)。

(4) 最高裁判所の全ての裁判官は、国会が任命する。

答え : ☓

→ 根拠法令は,憲法79条1項。国会ではなく,内閣が任命します。
ちなみに,最高裁の長たる裁判官については,内閣の氏名に基づき,天皇が
任命します(憲法6条2項)。

(79条1項) 最高裁判所は、その長たる裁判官及び法律の定める員数のその他の裁判官でこれを構成し、その長たる裁判官以外の裁判官は、内閣でこれを任命する。

(6条2項)天皇は、内閣の指名に基いて、最高裁判所の長たる裁判官を任命する。

(5) 国務大臣の過半数は、国会議員の中から選ばれなければならない。

答え : ○

→ 根拠法令は,憲法68条1項。よく出る条文です。

(68条1項)内閣総理大臣は、国務大臣を任命する。但し、その過半数は、国会議員の中から選ばれなければならない。

所感

回答の根拠:条文8・判例2
今年も条文中心の出題です。条文数も100条程度しかないので、条文を中心に学習しましょう。

以 上